早実・清宮 王さん868発「超えたい」 大先輩の始球式見て誓った

[ 2015年8月7日 05:38 ]

行進の最中、バックスクリーンを見上げ意気込む早実・清宮

第97回全国高校野球選手権大会開会式

(8月6日 甲子園)
 「世界の王」を超える。創設100年を迎えた第97回全国高校野球選手権大会が6日に開幕し、8日の第1試合に登場する早実(西東京)の1年生スラッガー、清宮幸太郎内野手(16)が早実OBの王貞治氏(75=ソフトバンク球団会長)の通算868本塁打のプロ野球記録を更新することを目標に掲げた。同日、開幕試合となった鹿児島実―北海(南北海道)の始球式を務めた王氏をスタンドから見て決意。甲子園デビューを前に、清宮が大志を抱いた。

 5階スタンドから見下ろす聖地のマウンド。そこには早実OBで1年生から4季連続で甲子園出場を果たし、57年センバツ大会で優勝投手となった王氏がいた。清宮は大先輩の始球式の様子をその目に焼き付けた。

 「マウンドに行く姿が堂々としていて、オーラもあって格好良かった。やっぱり、あの場で外角低めに正確無比なコントロールで決められる王さんは、“さすがだな”と思った。最高のボール。打てないですね」

 左打者の視点からいえば外角低めは難しい球。東京北砂リトルのエースとしてリトルリーグ世界選手権を制した元投手の立場からは理想の投球だった。

 そして75歳の雄姿に、新たな誓いが生まれた。王氏の持つプロ野球記録である868本塁打を超えることだ。

 「偉大すぎる数字ですが、できることなら超えたいと思う。(そこを)目指してやっていきたいと思った」

 早くてもプロ入りは3年後だが、その視線ははるか遠くを見据えた。

 始球式を終えた王氏は「(西東京大会決勝で)あんな奇跡的な勝利で(甲子園に)出てくれるとは…。関西でも、甲子園には早実ファンが多いんだよ」と、高校野球100年の今大会に第1回出場のレジェンド校として出場を決めた後輩に感謝。続けて8日の今治西(愛媛)との初戦で甲子園デビューを控える清宮について「とにかく自分のバッティングをしてくれればいい」とした上で、右肩上がりの注目度には「プレッシャーにつぶされないといいんだけど…。お手柔らかに頼みますよ。育ててやってくださいね」と報道陣に異例のお願いをした。

 もっとも、清宮当人は王氏の親心にも「それはないですね。(騒がれることが)モチベーションになっているので」とケロリ。開会式で3万5000人の大観衆を前に行進しても「(緊張は)全然ないです」と涼しい表情を浮かべていた。

 早実入学から4カ月余り。西東京大会では6試合で本塁打はなかったが、すでに春の練習試合を含めると高校通算13本塁打を数える。「試合に向けて状態を上げている。ベストコンディションで迎えたい」。早実時代の王氏の甲子園での本塁打は3年春の2本。スーパー1年生はまずは甲子園で「王超え」を果たす。 (東山 貴実)

 ≪清宮の今夏の「強心臓」語録≫

 ☆「すみません、あんなんで」 7月18日の西東京大会3回戦・都東大和南戦で夏の大会デビューもポテンヒット1本。

 ☆「自分の方が上と思って、どんな球でも来いという気持ちだった」 同19日の都府中西との4回戦は2安打3打点。前日のうっぷんを晴らす活躍。

 ☆「自分たちの野球をすれば負ける相手なんていない」 同22日の準々決勝・八王子学園八王子戦で神宮デビュー。1万3000人の観衆が集まり1安打2死球。

 ☆「運ではなく実力で勝ったと思う。甲子園では暴れてきたい」 同26日の東海大菅生との決勝戦。8回に右前適時打を放ち、一挙8点の逆転劇に貢献。甲子園出場を決める。

 ☆「(期待に)応えた時は快感。いつも通りの自分なら応えられると思う」 同30日に練習を公開。過熱するフィーバーを大歓迎。

 ☆「ヒットの延長がホームランになればいい。想像もできた。ここで暴れてやるぞという気持ちが増した」 8月3日の甲子園見学で初めて聖地の打席を体感。

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