鹿実 開幕戦史上初!1イニング10点 創立100年ド派手に飾った

[ 2015年8月7日 05:30 ]

<北海・鹿児島実>初回無死、鹿児島実の先頭・有村は右前打を放つ

第97回全国高校野球選手権第1日・1回戦 鹿児島実18―4北海

(8月6日 甲子園)
 開幕し、1回戦3試合が行われた。開幕戦では鹿児島実が北海(南北海道)に18―4で大勝。5回に10得点を挙げ、開幕試合での1イニング2桁得点は春夏通じて史上初となった。第3試合では上田西(長野)の草海(くさがい)光貴投手(2年)が宮崎日大戦で今大会完封一番乗りし、同校を甲子園初勝利に導いた。

 始球式で王貞治氏の一投に空振りした直後だった。鹿児島実の1番・有村は鋭いスイングで初球を捉え、右前に運んだ。

 「とにかく凄い方なので緊張したし、思っていたより、(いい)ボールが来た。でも、そのおかげで緊張が完全に取れた。初球を狙っていました」。この一打が北海バッテリーの動揺を誘い、1死二、三塁から暴投と捕逸で2点を先制した。

 5―3で迎えた5回の攻撃前には円陣を組み、宮下正一監督は「スクイズでもいいからとにかく1点取ろう。そうすればビッグイニングが来るかも」と選手を送り出した。その言葉通りの展開になった。1死二、三塁で最上がスクイズ(記録は内野安打)を決めると、その後は長打も絡めて次々に走者を還すなど打者14人の猛攻だ。開幕戦では春夏通じて最多の1イニング10得点を奪い、19安打で18点。2日前の練習ではミスが多く、声も出ていなかった。指揮官はシート打撃を途中で切り上げて正座させ「こんな集中力で勝ちたくないのか」と激怒。無安打も3四死球でつないだ2番の安藤は「あれでかなり気合が入った」と振り返った。

 チーム初安打で勢いをつけた有村はその後も広角に打ち分け、4安打1打点。エースだったが、腰痛などの故障に苦しみ、背番号1は先発した橋本に譲った。それでも6回途中から2番手でマウンドに上がり、2回2/3を無失点。投打で存在感を発揮し「いい流れをつくることができた」と、滴る汗を拭った。

 高校野球100年の節目の大会。鹿児島実にとっても学校創立100年を迎え、全国最多の36度の出場を誇る北海との「南北対決」となった開幕試合を制した。「オープニングでこんなゲームができて生徒は自信になるし、九州勢に勢いも付けられる」。宮下監督は5年ぶりに戻ってきた甲子園で手応えをつかんだ。

  ▼巨人・杉内(98年度卒)練習中なので試合を見ることはできませんでしたが、結果は気にしてました。創立100周年の年に、開幕戦に勝利した後輩たちを誇りに思います。これに満足せず、さらに勝ち進んでもらいたいですね。

 ▽鹿児島実 鹿児島市五ケ別府町にある私立高校で、1916年(大5)に私立鹿児島実業中学館として創立。48年に現校名となり、95年から男女共学。野球部は18年に創部し、96年にはセンバツ初優勝。夏は18度目の出場で、最高成績は74、91年の4強。主なOBは巨人・杉内、ソフトバンク・本多。サッカー部や陸上部も全国大会の常連。

 ≪18点は2位タイ≫開幕戦で鹿児島実が大量18得点。夏開幕戦の最多得点は88年常総学院の19点で、18点は36年岐阜商と並び2位タイとなった。また5回には一挙10点。イニング2桁得点は12年に常総学院が記録して以来。開幕戦では春、夏とも8点が最多で、2桁得点は春夏を通じ史上初となった。

 ≪勝利は初めて≫鹿児島勢の開幕戦出場は83年の同じ鹿児島実以来2度目で、勝利は初めて。全国最多36度目出場の北海は、開幕戦は40年以来、歴代最多の7度目出場となった(1勝6敗)。

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