【金本知憲氏　アニキのなんでも相談室】35年の勤務を完走…尊敬に値する

　【相談】わたしは４年前に３５年間勤めた会社を定年退職後、嘱託として約３年勤務しました。約２年を残して昨年退職していまはフリーです。妻と孫にも恵まれ、経済的には困らない家庭です。定年まで無事に勤めあげた一方で、あと２年の嘱託勤務は身体的にも仕事的にも限界だったとも思います。

　しかし、嘱託を約２年残しての退職で自分の心が交錯して惜しい気もあり、自分自身の気持ちの整理がつきません。金本さんは現役時代、連続フルイニング出場の世界記録をなし遂げるなどの業績を残されましたが、わたしのこのようなことを、どのように思われ、どのようにお考えになられるでしょうか？よろしくお願いいたします。（大阪市西成区の６４歳男性）

　【意見】目上の人に対してアドバイスなどをすることは失礼なことではありますが、僕なりの考えをお話しさせていただきます。

　ひとつの会社に３５年間もきっちりと勤められたことはとても立派なことだと思います。

　昔も、今も変わらないことだとは思いますが、ささいなことですぐに会社を辞めたり、少しでも嫌なことがあれば会社を辞めたりする人もいます。仕事にやりがいがないとか、自分には合わないとか何かと理由を付けて簡単に仕事を辞める人がたくさんいる中で、３５年という長い年月も一生懸命に仕事をまっとうされたということは、僕からすれば尊敬に値します。

　仕事をされている間は嫌なことや、いろいろとご苦労もあったと思います。それでも同じ仕事を続けられたことはすごいことだと思います。“どのように思われますか？”と聞かれた場合には素直に“尊敬します”ということをお伝えしたいですね。

　嘱託を約２年残して退職されたということですが、それも良いのではないでしょうか。その分、時間と少しでも金銭的に余裕があればお好きな事に時間を使っても良いのではないでしょうか。また、気持ちの中で複雑な思いがあるようですが、それも時間が解決してくれることもあると感じますよ。時間がたつことによって自然と心の整理が付くようになることもあります。

　自分のやってきたことにすべて後悔がない人などは、ほとんどいないと思いますし、何かに対して未練や、後悔は少なからずあると思いますよ。そういうことは引きずっても仕方ないのではないでしょうか。立派な人生であったのだと心から思います。（金本知憲＝本紙評論家）

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