巨人が7度目奪首!坂本の穴、吉川が埋めた 今季初遊撃で2安打

[ 2015年8月5日 05:40 ]

<ヤ・巨>ヤクルトに勝利しナインとハイタッチを交わす吉川(右端) 

セ・リーグ 巨人5―3ヤクルト

(8月4日 福島)
 巨人は4日、5―3でヤクルトを下し、首位に浮上した。坂本勇人内野手(26)が腰の違和感で欠場した中、「7番・遊撃」で先発出場した吉川大幾内野手(22)が7回に左前適時打を放つなど、2安打1打点2得点の活躍。昨オフに中日を戦力外になり、原辰徳監督(57)に見いだされた男が危機を救い、巨人は今季7度目となる首位奪取となった。

 吉川は少し声を上ずらせながら帰りのバスへ歩いた。「“何とかなるだろう精神”じゃないけど、前もって言われるより、すんなり(試合に)入れた」。坂本が試合前練習中に腰の違和感を訴え、練習終了直前に代役と告げられた。先発は6月12日ロッテ戦(QVCマリン)以来、約2カ月ぶり。遊撃での出場は今季初でも、腹を決めた。

 3回にチーム初安打となる中前打で出塁し、先制のホームを踏んだ。7回には貴重な3点目の適時打を放ち、2安打1打点2得点。「(1本目は)追い込まれていたので粘ろうとした結果。巨人に来たときから、どういう形でも貢献したいと思っていた」。控えの層の厚さ。これが巨人の強みだ。

 原監督は言った。「守備力、スピードは勇人(坂本)に引けを取らない。非常に吉川らしさが出た」。PL学園から10年にソフトバンクの育成選手・勧野とともに最後にプロ入りした選手だ。自主トレは高校の大先輩である楽天・松井稼とともにし、5月31日の対戦(コボスタ宮城)で右中間に移籍初安打を放つと、「稼頭央さんのところに飛んでよかった。僕の師匠なので」と喜んだ。

 吉川の長所はチームへの献身的な姿勢だ。5月23日中日戦(ナゴヤドーム)、ベンチで待機する捕手が不在になると「経験はないですが、できます」と準備。指揮官に「勇気ある人間が一人いました」と称えられた。

 スーパーサブに背中を押されるように、打線はつなぎの打撃でヤクルト・館山を攻略。首位の座を奪い返した。同じく控えの立場からはい上がり、1番に定着しつつある立岡は3回に左中間へ先制適時二塁打。「吉川からつくったチャンスを自分が還すことができてうれしい」。6番・村田は4回、自身39試合ぶりとなる適時打を中前に放ち、6試合連続安打とした。原監督は「相手が嫌がる安打で攻めることができた」とうなずいた。

 終盤の遊撃守備中、吉川は遊撃の守備位置で人知れず足をばたつかせていた。「セミがいたんです。(虫は)あんまり得意じゃないので…」。福島の自然に思わぬ形で悩まされたが、ここぞで見せたプレーは、チームスローガン「野性味」そのものだった。(大林 幹雄) 

 ≪広島は唯一首位なし≫巨人の首位奪取は今季7度目でセ・リーグで最も多い。ヤクルトが6度で続き、DeNAと阪神が4度。中日は3度ある。広島は6球団で唯一、首位がない。

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