制裁から3年…都市対抗準V大阪ガス指揮官の新たな挑戦

[ 2015年8月4日 09:00 ]

<都市対抗野球>準優勝に肩を落とす大阪ガスナイン

 第86回都市対抗野球は延長14回、4時間43分という大会史上に残る死闘の末、日本生命(大阪市)が18年ぶり4度目の優勝で幕を下ろした。応援団がスタンドに投げ入れる7色のテープを万感を胸に見守ったのが、敗れた大阪ガス(大阪市)の竹村誠監督だった。

 「(日本生命に)投げられたテープを脳裏に刻んで、来年またチャレンジしたい」

 12年に当時の現役選手を含む同社の36人が、高校野球などを賭けの対象にする「野球賭博」に関与していたことが判明。日本野球連盟から6カ月の対外試合禁止の処分を受けた。

 竹村監督に「野球部を立て直して欲しい」と依頼が来たのはその頃だった。97~99年まで指揮を執ったが、退任後は社業に専念していた。13年間で営業センター所長やお客様センター所長、支社長などを歴任。スーツ姿で充実の日々を送っていたときだった。

 火中の栗かもしれない。だが、竹村監督は「上司にノーと言える性格ではない」と引き受ける。14年ぶりのグラウンドで目にしたのは選手がバラバラの練習着でプレーする姿だった。「会社の人間としてユニホームは制服」と白で統一させた。「ウォームアップ中は帽子着用」などチームの徹底事項や心構えを冊子にして選手に配った。

 13年間のサラリーマン生活で考え方も変わった。小説から自叙伝まで年間50冊は読む読書家だったが、再びユニホームを着ると「ほとんど読まなくなった」という。第三者の意見や思想に左右されない不動心で指導に徹した

 今年の初優勝はお預けとなった。これも試練。「まだ上には上がいる」。竹村監督の新たな挑戦が始まる。(君島 圭介)

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2015年8月4日のニュース