4時間43分死闘!日生、延長14回V 救援の藤井貴が橋戸賞

[ 2015年7月30日 05:30 ]

<日本生命・大阪ガス>優勝し歓喜に沸く日本生命ナイン

第86回都市対抗野球最終日・決勝 日本生命5―3大阪ガス

(7月29日 東京D)
 日本生命が4時間43分の死闘を制して18年ぶり4度目の頂点に立った。1951年以来64年ぶりとなった大阪市同士の決勝戦は、延長14回2死満塁から広本拓也内野手(26)が決勝2点左前打。5回途中から155球を投げきった藤井貴之投手(27)が大阪ガス打線を封じ込めた。決勝での延長14回は70年以来45年ぶりとなる史上最長タイ。好救援を見せた藤井貴が、橋戸賞(最優秀選手賞)に輝いた。

 藤井貴の咆吼(ほうこう)が東京ドームを揺るがした。「よっしゃあ~」。延長14回、4時間43分の熱戦に終止符を打った。最後まで耐え抜いた鉄腕を中心にナインが駆け寄る。18年ぶり4度目の頂点に立ち、古豪復権を果たした歓喜を分かち合った。

 「もうゼロに抑えるしかないと思った」。午後10時を過ぎ、大会規定で都市対抗名物のマイクパフォーマンスも鳴り物も禁止になった。悲鳴のような声援だけが響き渡る中、顔を真っ赤にして投げ続けた。3点差を追いついての延長戦。元日本ハム、阪神の酒井光次郎投手コーチは「我慢しろ」と励まし続けた。スタミナには自信があった。延長13回2死二、三塁のピンチも小技のある峰下を中飛に打ち取った。5回途中から登板して155球目。最後の打者は投ゴロに打ち取った。

 「迷ったけど、あいつに預けようと思った」。準々決勝から3試合連続の延長戦を制した十河章浩監督は、橋戸賞を獲得した右腕を称えた。自身は内野手としてバルセロナ五輪にも出場。銅メダル獲得に貢献した就任2年目の指揮官は「執念という言葉が好き。それが内から出てきたとき勝負を分ける」。まさに執念で18年ぶり4度目の黒獅子旗をつかみ取った。

 この日、高知高野球部2年生の次男は、高知大会決勝で明徳義塾に敗れた。「マジか!」と絶句した約7時間後、社会人野球の「息子たち」が最高の笑顔を贈ってくれた。「しびれるわ!」。ナインにそう声をかけた。

 準々決勝のトヨタ自動車戦でも8イニングのロング救援でタイブレークを制した藤井貴は「ゾーンで勝負すればバックが守ってくれると信じた」と汗を拭った。「藤井が本当によく投げた」。十河監督はそう言って、日本一の笑顔を浮かべた。(君島 圭介)

 ▼日本生命・岩下主将 大会もこの試合も、凄く長かった。苦しくて楽しい大会でした。

 ≪45年ぶり最長タイ延長≫決勝戦での延長戦は11年以来4年ぶり12度目。延長14回は大会史上最長タイで70年の大昭和製紙―三菱重工神戸以来45年ぶり2度目となった。当時、後楽園球場で行われた一戦は14回で引き分け再試合。翌日の再試合は3―0で大昭和製紙が制した。大会の延長記録は62年1回戦のニッポンビール―電電近畿の22回。5時間27分の一戦は1―0でニッポンビールがサヨナラ勝ちした。

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