稼頭央、両打ち2人目2000安打 こだわった「振り切って長打」

[ 2015年7月29日 05:41 ]

<楽・ソ>初回1死一塁、松井稼は中前打を放ち日本通算2000本安打を達成。花束を受け取る

パ・リーグ 楽天1-5ソフトバンク

(7月28日 秋田)
 楽天の松井稼頭央外野手(39)は28日、ソフトバンク戦の初回に中前打を放ち、プロ野球史上46人目の通算2000安打を達成した。左右両打ちの記録達成は柴田勲氏(元巨人)以来2人目。日米通算ではアストロズ時代の2009年に2000安打に到達しており、新たな金字塔を打ちたてた。3回には左翼線二塁打を放ち、日米通算3000安打まで384本。天才スイッチヒッターは次なる偉業へと突き進む。

 ふわりと上がった打球が中前にポトリと落ちた。その瞬間、大歓声が湧き起こり、松井稼の顔にはみるみるうちに笑みが広がった。スタンドを埋め尽くした1万9459人の秋田のファンは総立ちで祝福。嶋、ソフトバンク・松田から花束を受け取り、何度も何度も頭を下げた。

 「正直、ホッとしました。ホームで達成したい気持ちが強かった。東北での達成。これほどうれしいことはないです」

 第1打席で決めた。初回1死一塁、1ボール1ストライクからの3球目。左打席で放った節目の一打はポテンヒットとなったが「ヒットになるということは、良い打ち方をしている」としっかり振り切ったからこそ生まれた安打と胸を張った。

 両打ちでの日本通算2000安打は柴田勲(巨人)に次ぐ2人目。日米通算ではこれが2615安打目で、過去に比類なきスイッチヒッターである。もともとは右打ちでプロ3年目から左打ちを始めた。足を生かし、転がして内野安打を稼ぐ――。そういった両打ちの定説を、素直な欲求で覆してきた。

 「初めは三遊間に打っていこうというのがスタートだったが、足を生かすスイッチでは物足りなくなった。大きいのも打ちたくなった」。自然体で打つ右とは違い、左は機械的なフォーム。「人格を変える。右はアホ、左は賢く」と例えるが、つくられた左打者からの脱却を目指した。「当てにいく」のではなく「振り切る」だった。年々、長打は増え02年には36本塁打(右打席9本、左打席27本)を記録。日本人のスイッチ打者では、68年に柴田、85年に松永浩美(阪急)が記録した26本塁打を超えた。

 そして、04年から移籍した大リーグではスイッチ文化の奥深さを知る。アストロズ時代の同僚で通算366本塁打を記録したランス・バークマンから「7歳ぐらいからやっている」と教えられ「スイッチに対する意識が高まった」という。通算468本塁打を誇るブレーブスの名選手、チッパー・ジョーンズの打撃にも魅了された。「チッパーとか凄い。メジャーの打者はスイッチに見えない」という驚きと同時に「日本はスイッチ打者が少なくなった」という寂しさもある。だからこそ、「少しでも“こういうバッターになりたい”と思ってもらえる打者になりたい」と、スイッチ打者としての使命感を持っている。

 10月で40歳。現役を長く続けるため外野手に転向した。「あくまで2000という数字は通過点」という言葉通り、3回の第2打席でも左打席で左翼線に二塁打を放った。次の目標は残り384本となった日米通算3000安打。「その可能性がある限り、チャレンジしたい」。最強スイッチヒッターのまた新たな挑戦が始まった。(徳原 麗奈)

 ≪両打ち200号も間近≫両打ちでは柴田(巨)に次ぎ2人目の通算2000安打を達成。右腕から1352本、左腕から649本を放ち大台を超えた。本塁打も日本通算196本で、松永(ダ=203本)に次ぐ両打ち2人目の200号も間近。日本で2000安打&200本塁打の両打ち打者はいなく、松井稼が第1号となりそうだ。

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