“最後の夏”の結末は…渡辺監督率いる横浜が勝ち続けてきたワケ

[ 2015年7月23日 08:00 ]

藤沢翔陵との試合前、ノックする横浜・渡辺監督

 7月6日。横浜市内のホテルで行われた「神奈川県監督会」に出席した。高校野球の監督をはじめ、近年は中学校の指導者も参加するようになり、参加者は180人を超えた。あらためて神奈川の野球熱を感じる会合だった。

 今夏限りで勇退する甲子園歴代3位タイの51勝を誇る横浜・渡辺元智監督が、壇上でマイクを握った。「うちは手強いと思いますよ。ノーシードで失うものはない。武士道精神で、ぶつかっていけますから」。その言葉通り、横浜は第1シードの相模原を破るなど、8強入り。24日の準々決勝では「校歌を歌えるくらい、横浜高校に負けました」という水谷哲也監督率いる横浜隼人と対戦する。

 渡辺監督と長年コンビを組んできた小倉清一郎前野球部長は昨年限りでユニホームを脱いだ。2人は「打倒・横浜」を掲げる他校の挑戦を受け止めながら、激戦区で勝ち続けてきた。

 12年からアマチュア野球担当になった。横浜の練習取材に行くと、「ここまでやるのか」と驚かされることが多い。

 セーフティーバントを想定した守備練習をしていた時のこと。小倉さんがいきなり大声を上げた。「おいっ!お前たち、一体どこを見て守ってんだ!」。内野手のチャージの甘さを指摘したのかと思ったら、全然別次元の話だった。

 「右打者の右手がバットの先端の方を握っていたからね。あそこを持ったらプッシュバントはできない。打球の勢いが弱くなるわけだから、一塁手は猛ダッシュしてこなきゃ。逆に根元の方を握っていたら、プッシュバントしてくる可能性があるから、それに備えるんだよ」。

 バントをする際に、バットを握る位置まで観察するなんて…。

 横浜高出身のロッテ・涌井は、走者一塁時にバントの打球を素早く処理し、二塁で封殺するシーンが目立つ。「高校時代に毎日練習していましたから。右打者なら内角高めに直球を投げる。そうすると、投手の前に強いバントになるんです」と聞いた事がある。涌井だけではない。松坂(ソフトバンク)ら、横浜OBの投手はみんなフィールディングが上手だ。

 渡辺監督の座右の銘は「富士山に登る第一歩、三笠山に登る第一歩、同じ一歩でも覚悟が違う。目標がその日その日を支配する」。日本一高い山に登ることを意識しているから、神奈川大会から甲子園決勝までの投手起用を逆算して決めることもあるという。

 名将最後の夏。横浜ナインが神奈川を制すのかそれとも、勝ち残った7校が立ちふさがるか。(川島 毅洋)

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