日本新薬・榎田 病に勝った!4カ月超のブランク乗り越え復活勝利

[ 2015年7月22日 05:30 ]

<日本新薬・JR九州>8回0/3を3失点で勝利投手となった榎田

第86回都市対抗野球大会第4日・1回戦 日本新薬4-3JR九州

(7月21日 東京D)
 1回戦3試合が行われ、昨年8強の日本新薬(京都市)が4―3でJR九州(北九州市)を破った。兄に阪神の大樹投手(28)を持つ榎田宏樹投手(26)が8回0/3を3失点の好投。過敏性腸症候群(IBS)から復活の勝利を挙げた。また、今大会初の延長タイブレークを制したNTT西日本(大阪市)、東芝(川崎市)もそれぞれ2回戦に進出した。

 病魔と闘いながら立った東京ドームのマウンド。榎田は最後はベンチで両手を合わせて勝利を祈り続けた。完投こそ逃したものの、9回途中まで3失点。8三振を奪った26歳左腕は「正直、今年はここに来られるとは思ってなかった。自分的にはよく投げた方だが、出来は5割ぐらい。いっぱいいっぱいでした」と振り返った。

 昨夏から突然、下痢や腹痛にたびたび見舞われるようになった。「原因が分からず不安でした」。12月に過敏性腸症候群(IBS)と診断された。腸の運動をつかさどる自律神経の異常によって、腹痛などが慢性的に繰り返される疾患。ストレスで症状が悪化することから心身症の一つともされる。手術後、1日1錠の治療薬が手放せなくなった。入院時は阪神でプレーする兄・大樹も見舞いに訪れてたが「もう野球ができないんじゃないか、という状態までいった」。4カ月以上のブランクを経て、本格的に投球練習を再開したのは5月上旬だった。

 前日も緊張と不安から体調は良くなかったという中、初回に3連打で1点を失う。それでも、JR九州の右打者に外角のツーシームを狙われていることを察知すると、2回以降は配球を変えて内角の真っすぐとチェンジアップを軸に組み立てた。病み上がりで「体力を使わなくて済む」という理由から、走者がいなくても右足を上げることなく、小さなクイックモーションで投げ続けた。結果、制球も安定し、9回先頭に死球を与えるまでは無四死球だった。

 「こんな体になって、プロを目指すことはもう難しいと思うので、都市対抗で昨年を超えるベスト4を狙いたい」。兄弟プロになることだけが野球を続ける理由ではない。(東山 貴実)

 ◆榎田 宏樹(えのきだ・ひろき)1988年(昭63)11月2日、鹿児島県生まれの26歳。宮崎・小林西では甲子園出場なし。日本文理大を経て11年、日本新薬に入社。1メートル74、76キロ。左投げ左打ち。血液型B。好きな言葉は決断。趣味は釣り。兄は10年ドラフト1位で阪神に入団した榎田大樹投手。

 ▼阪神・榎田 (手術後の)昨年12月にお見舞いに行きました。元気そうだったので心配はしていなかったです。都市対抗でもしっかりと投げてくれて良かった。これからもチームを引っ張っていってほしいですね。

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