浦安南 22年ぶり夏1勝!部員8人、サッカー部の助っ人活躍

[ 2015年7月13日 05:30 ]

22年ぶりに勝利し、声高らかに校歌を斉唱する浦安南ナイン

第97回全国高校野球選手権千葉大会1回戦 浦安南6―2大網

(7月12日 ゼットエー)
 最後の打者を打ち取ると、浦安南のエース田中は「やっと勝ったぞ!」と、涙を流しながら何度も雄叫びを上げた。93年以来、22年ぶりの勝利。待ちに待った瞬間だ。

 4回、夏の大会4年ぶりとなる得点を叩き出したのも自らのバットだ。無死一塁から右越え二塁打に「打った瞬間のことは何も覚えていない。ベンチの声が今までで一番大きかったことだけは分かった」。無我夢中だった。

 7年ぶりに出場した03年以降、全て2桁失点でのコールド負け。04年には0―30、08年には0―34と屈辱的な大敗を喫した。今年のチームも正式な部員は1人足りない8人。そのため、運動神経の良さを買われたサッカー部所属の向後(こうご)が「9人目の部員」として加わった。

 5月から週に1、2度、練習に参加し始め、1週間前からは部活動の全ての時間を野球部に費やしてきた。その向後は「9番・左翼」で出場し、3安打1打点の大活躍。「午前中に野球部で練習試合をした後、学校に大急ぎで戻ってサッカー部の練習。夜はマクドナルドで9時まで働いた日もありました」。アルバイトで磨いた「スマイル」が塁上で輝いた。

 5回以降、暑さのために3選手が足をつるアクシデントに見舞われたが、落合克行監督は「1人が欠けた瞬間に試合ができなくなることは、選手たちに普段から何度も叩き込んできた」とナインを信頼。2点差の7回に3点を追加し、勝利を決定付けた。

 次戦は優勝候補筆頭の専大松戸と対戦する。落合監督は「雲の上の相手だが、チバテレビの放送もある。自分たちの力を出し切り、気持ちよく終わらせてあげたい」と、正真正銘の「ナイン」を頼もしげに見つめた。 (石橋 亜希)

 ◆浦安南 1984年に全日制普通科の県立高校として開校し、32年目を迎えた。男女共学。東日本大震災では、液状化の被害を受け、半年間船橋市に間借りしていた。野球部は学校創立と同年に発足。所在地は千葉県浦安市高洲9の4の1。守屋嘉之校長。

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2015年7月13日のニュース