「野球部あるある」後逸した打球を取りに行く外野手の背中ほど寂しいものはない

[ 2015年7月11日 10:27 ]

【野球部あるある】後逸した打球を取りに行く外野手の背中ほど、寂しいものはない(C)クロマツテツロウ
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 全国各地で地方大会が続々と開幕し、本格的に夏の高校野球シーズンが到来した。高い意識で甲子園出場をもくろむ球児もいれば、「夏の1勝」を目標に燃える球児もいる。集大成の夏に、高校球児たちはどんな生き様を見せてくれるのだろうか。野球部員の知られざる「生態」を研究しているライター・菊地選手と漫画家・クロマツテツロウ氏が「あるある」形式で球児の心理や行動パターンをつづる。今回は「夏の野球部あるある(プレー編)」。

 【野球部あるある1】ピンチの場面で「こっちに打たせろ!」と投手に声を掛けるが、本音としては三振で終わってほしい。

 威勢よく「ピッチャー、打たせていこう!」と声を掛けているものの、実際に頭の中では「できるだけ三振で終わりますように……」という祈りに支配されている。しかし、えてして「飛んでくるな」と思っている時に限って、自分のところに打球が飛んでくるものだ。夏の「戦犯」になることを恐れるより、夏の「英雄」を目指すべし。

 【野球部あるある2】後逸した打球を取りに行く外野手の背中ほど、寂しいものはない。

 なんともポエジーな光景だ。野に咲く花、澄みきった青空、そして外野手の背中……。世の中のあらゆるアーチストの創作意欲をかきたてるシーンがここにある。自分のミスを取り返すために遠ざかっていく外野手の背中は、我々に「あきらめない懸命な心」「世のはかなさ」「打球を前で止める重要性」など、いろんなことを教えてくれる。

 真剣だからこそ、そこに「愛」が湧いてくる。今年の夏、近くの野球場に足を運んで、こんな球児たちの愛すべき真剣プレーに拍手を送ってほしい。

 ◆文=菊地選手(きくちせんしゅ) 1982年生まれ、東京都出身。野球専門誌『野球太郎』編集部員を経て、フリーの編集兼ライターに。元高校球児で、「野球部研究家」を自称。著書に『野球部あるある』シリーズがある。アニメ『野球部あるある』(北陸朝日放送)もYouTubeで公開中。

 ◆漫画=クロマツテツロウ 1979年生まれ、奈良県出身。高校時代は野球部に所属した漫画家。現在は月刊少年チャンピオン(秋田書店)にて異色の“野球部漫画”『野球部に花束を』を連載中。単行本(既刊6巻)、LINEスタンプも好評を得ている。

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