マー君1カ月ぶり5勝目!完全復活 今季最多114球で前半戦締め

[ 2015年7月11日 05:30 ]

<ヤンキース・アスレチックス>気迫の投球で5勝目を挙げたヤンキース・田中

ア・リーグ ヤンキース6-2アスレチックス

(7月9日 ニューヨーク)
 ヤンキースの田中将大投手(26)が9日(日本時間10日)、アスレチックス戦に先発し、前半戦最終登板を1カ月ぶりの白星となる5勝目で飾った。今季最長となる7回2/3を2安打2失点。失点した2回以外は安打を許さず、今季最多の100球超えとなる114球の熱投だった。約1カ月間の故障離脱、2試合連続の1試合3被弾など、周囲を心配させたが、完全復活を示す快投で締め、勝負の後半戦に向かう。

 満場のスタンディングオベーションが注いだ。田中は帽子に軽く手をやり、応えた。7回を終えた時点で投球数は99球に達していたが、8回もマウンドに上がった背番号19は先頭から2者連続三振を奪い降板。「ああいう歓声をもらえるのは、やっぱりうれしいです」。控えめな態度と裏腹な確かな手応えが残った。

 2回、捕手の打撃妨害で不運な出塁を許し、甘い速球を2本、適時二塁打された。しかし、その2回を除けば、4回に振り逃げの走者を1人出しただけ。打者13人を連続で打ち取った。6月9日ナショナルズ戦以来、1カ月ぶりの5勝目に「チームも勝って、自分自身も状態が上がってきていると実感が持てる登板だった」と振り返った。

 3回以降生きたのはスライダー、スプリットの変化球。サインに首を振る場面もあり「自分で球種を選択して投げられた。カウントで優位に立ち、投球に余裕があった」。復調した前回3日レイズ戦で全投球の半数以上を締めた速球系は、114球中35球と3割。球種別で最も多いのはスプリット35球、スライダー31球と続いた。打者の打ち気のなさを悟るとカウントを奪い、足の上げ方や腕の振りの変化でタイミングを巧みにずらした。

 生命線であるスプリットは、縦だけでなく、時にはシュート気味に落とすなど、横への変化と投げ分けた。「正直、日本では“ストライクからボールになれば振ってくれるやろ”ぐらいだった。その投げ分けはこっちに来てから、特に今年からできるようになったと思う」。田中が、はっきり口にした進化だった。

 初の開幕投手を務めた2年目。右手首の腱炎と右前腕部の張りで4月28日から約1カ月間、故障者リスト(DL)入りし、過去4試合は0勝2敗、防御率6・26と結果も出ていなかった。しかし、マウンド上で自分と格闘していた田中は、もういない。思い通りに球種を操り「バッターとの勝負ができた」。これぞ投手・田中の真骨頂だ。

 右肘じん帯部分損傷が発覚した昨年7月8日のインディアンス戦から、丸1年が経過した最初の登板で、故障後最多の114球。「久しぶりにあれだけの球数を投げられた。自分の中で一つステップを踏めた」。混戦の地区優勝争いを抜け出すには、後半戦も復調した田中の力が欠かせない。(後藤 茂樹)

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