全米も注目!記者席でアナウンス「イチローが29打数で止めた」

[ 2015年7月10日 05:30 ]

<レッドソックス・マーリンズ>4回1死一、二塁、自身の連続打席無安打を「34」で止める中前打を放つイチロー

インターリーグ マーリンズ3―6レッドソックス

(7月8日 ボストン)
 マーリンズのイチロー外野手(41)が8日(日本時間9日)、レッドソックス戦に「9番・右翼」で4試合ぶりに先発出場し、4打数1安打。4回の2打席目に中前打を放ち、メジャー自己ワーストの連続打席無安打を34(3四球、2犠打を含む)で止めた。6月18日のヤンキース戦で三塁内野安打を放って以来、出場16試合、20日ぶりの安打を記録。チームは4連敗を喫したが、レジェンドがようやく長いトンネルを抜けた。

 ふわりと上がった打球は、中前の芝生にポトリと落ちた。会心の一打でもなく、芸術的でもないポテンヒット。厳しい表情を崩さず一塁に到達したイチローは一塁手のレ軍オルティスに声を掛けられ、少しだけ笑みを浮かべただけだった。

 マリナーズ時代の12年の25打席連続無安打を超える長いトンネル。2回の1打席目に見逃し三振を喫し、34打席まで伸びた。4回1死一、二塁の2打席目。右腕ポーセロの1ボール1ストライクからの3球目、93マイル(約150キロ)の高めの直球を振り切った。差し込まれながらも、生まれた35打席ぶりの安打。地元紙でも「イチローのキャリアワーストの無安打が続く」と連日話題になっており、記者席では「イチローが29打数(3四球、2犠打)で止めた」とアナウンスがあったほどだった。

 一方、イチローは試合後の取材には応じなかった。20打席連続無安打となった6月30日に「レギュラーでそれが続いているのと、そういうの(代打)が入っているのは違うから。そもそも数(無安打の打席数)も知らない」と言ってから無安打へのコメントはなし。普段は「安打になれば何でもいいんですよ」と気さくに話すイチローだが、1本出たからといってコメントするまでもない。レジェンドのプライドが込められた無言だった。

 自己ワーストを9打席も更新した理由は、一貫しない起用法にもあった。第4の外野手として先発出場が少ないのは承知済み。だが、メジャーでは主力が休養日のケースが多いナイター翌日のデーゲームなど、控え野手として備えた先発出場のタイミングが首脳陣と合わなかった。主砲スタントンが左手骨折で6月27日に離脱した後、ダン・ジェニングズ監督は「代役はイチロー」としながら10試合中、先発したのはこの日が6試合目。常に準備を怠らないイチローでも精神面の維持は難しく、普段はビール小瓶2本の晩酌が、3本に増えた日も多かった。

 待望の「イチ安打」で、らしい仕掛けも戻った。9回、上原との対戦。決め球のスプリットの落ち際を捉えることを想定し、半足分、投手寄りに構えを取った。直球を打って中飛に倒れたが、攻撃的な姿勢が戻っていた。 (笹田幸嗣通信員)

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