砂田プロ初勝利!育成出身10代では史上初 DeNA3位浮上

[ 2015年7月9日 05:30 ]

<広・D>プロ初勝利のウイニングボールを手に、中畑監督(右)から熱い祝福を受ける砂田

セ・リーグ DeNA7―1広島

(7月8日 三次)
 チーム待望の先発左腕が現れた。DeNAの砂田毅樹投手(19)は8日、広島を5回4安打無失点に抑え、プロ初勝利をマークした。育成出身で10代の投手が勝利を挙げるのはプロ野球史上初の快挙。また、チームの先発左腕としては2年ぶりの勝利だ。中畑清監督(61)がノドから手が出るほど欲しかった先発サウスポーが頭角を現し、6月30日以来8日ぶりに3位へと浮上した。

 中畑監督に羽交い締めされて両腕を上げさせられると、19歳の少年ははにかんだ。4試合目の先発登板で砂田が5回4安打無失点の好投。19歳11カ月でのプロ初勝利は育成枠出身投手の最年少記録で「(同学年の)関根が(19歳8カ月でリーグ開幕戦アーチの)最年少記録を持っていたので自分もほしかった。やっと肩を並べられました」と胸を張った。

 5回まで5奪三振。カーブ、スライダー、スクリューと変化球でストライクが取れる。クロスステップして投げ る130キロ台後半の直球で内角を果敢に突いた。打者の手元で伸びるから相手はボールゾーンでも思わず手を出す。3回2死一、三塁のピンチ。シアーホルツに2ストライクから真ん中高めのつり球で、バットに当てただけの三ゴロに仕留めた場面が象徴的だった。

 打っても4回1死三塁でプロ初安打初打点の中前打。先発左腕の白星は実に2年ぶり。4カードぶり勝ち越しで3位に浮上した。中畑監督も「砂田の勝ちが一番うれしい。新しい戦力が一本出てきてくれた」と絶賛した。

 高卒2年目で楽天・松井裕、西武・森らと同世代。だが、「彼らは高校からスーパースター。気にならなかった」と振り返る。高校3年時に大学や社会人から誘いの声はなく「DeNAに育成で指名されなければ、今頃なにやってたんですかね」と笑う。入団しなければフリーターの可能性もあった砂田の刺激になったのは「いつも一緒にいた」という同期入団の関根だった。「凄く刺激になった。どうすれば1軍で活躍できるんだろうと考えた」。

 手本は4月に2軍で調整していた41歳右腕・三浦だった。同じ球種でも緩急をつけて相手の間を外す技術を直接助言を求め、身に付けた。プロ初登板の6月14日の日本ハム戦(札幌ドーム)では投げ合った大谷が「全然年下に見えなかった」と感嘆したほどだ。試合後に「もうちょっと投げられたな」と三浦から声を掛けられた左腕は「これからが勝負です」と表情を引き締めた。

 帽子のひさしに「謝」と「歩」の漢字が書かれている。「周りへの感謝を忘れず。一歩ずつ前に進むですね。僕は育成出身。はい上がりたい」。左腕はエースへ成り上がる強い志を胸に秘めている。(平尾 類)

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