“155キロ右腕”生田目弟・忍「打てなくて」号泣 短い夏終わる

[ 2015年7月9日 08:55 ]

全国高校野球選手権茨城大会 水戸工2─4水海道一

(7月8日 水戸市民)
 来秋ドラフト候補の流通経大の155キロ右腕・生田目(なばため)翼投手の弟、水戸工の忍主将(3年)が「4番・遊撃」でフル出場したが、無安打に倒れ、短い夏が幕を閉じた。

 両親が球場に見守る中、試合終了後は涙せず気丈に振る舞っていた。しかし最後のミーティングを終えると号泣。「こういう結果に終わってしまって、負けたが気がしなくて悔しい…。打てなくて申し訳ない」としゃくり上げた。

 3人兄弟の末っ子で、翼は次兄にあたる。兄と同じ高校に進んでからは「オレは高校時代、全打席ホームランを狙っていた。お前も狙え」とハッパをかけられたという。長兄の駿さんも水戸桜ノ牧でプレーし、3人で甲子園の夢を追った。中2冬に右肘の手術をしたことで投手は断念したが、1年夏からベンチ入りした実力派。それでも「兄貴がいたからベンチに入れてもらえた。本当に良い先輩に恵まれた」と謙虚に振り返る。

 持ち前の長打力で、今季は一度も4番を外れることはなかった。兄弟を指導した小沢直人監督は「生田目は少し気負っていたかな。なんとかしたいという思いが強すぎた。チャンスでも勝負してもらえないし、なかなか難しかった」と肩を落とした。指揮官によると兄は素材型、弟はコツコツと努力を積み重ねるタイプ。敗れはしたが「忍のおかげでまとまれたチーム。彼でなければここまで来れなかった」としっかり者の主将を称えた。

 兄は今春全日本大学野球選手権で155キロをマークし、準優勝。一躍来秋ドラフトの上位候補に躍り出た。「公務員になりたい」と発言して周囲を驚かせたが「自分が“プロに行け”と説得します」ときっぱり。自身は大学でもプレーを続ける予定だ。「高校野球で悔しい結果だったので、大学で燃え尽きたい。将来はのんびり暮らして、いつか兄貴2人と草野球ができたらいいな」。涙を拭き、再び前を向いた。

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2015年7月9日のニュース