「やめちまえ!」巨人・亀井 ヤジに燃えた!“怒カン怒カン”ソロ2発

[ 2015年7月6日 05:30 ]

<中・巨>怒りの2発!7回無死、亀井の2打席連続ソロに沸くナゴヤドームの巨人ファン

セ・リーグ 巨人2-0中日

(7月5日 ナゴヤD)
 怒りの2連発だ。巨人の亀井善行外野手(32)が5日の中日戦で2打席連続本塁打を放ち、チームに8カードぶりの勝ち越しをもたらした。大混戦のセ・リーグで、敗れれば6月以降では4年ぶりにBクラスに転落する可能性もあった一戦。5回に先制4号ソロを放つと、7回にも5号ソロで全得点を叩き出し、2位に浮上させた。打線が低迷する中で、試合前練習中に観客から激しいヤジを浴びせられたが、悔しさを力に変えた。

 ヤジは賛辞に変わった。試合後のヒーローインタビューを受ける亀井に向け、ナゴヤドームのスタンドから「おまえはホームランバッターだ!」という声が飛んだ。2打席連発のヒーローは穏やかな笑顔で両手を掲げた。

 「ずっとモヤモヤしていたので勝てて良かったです。まあ、ホームランバッターではないのでね。たまたまです」

 試合前の練習中だった。不振に苦しむ亀井と阿部は三塁側スタンドの観客から「やめちまえ!」と厳しいヤジを浴びせられた。阿部は無言でベンチ裏へ下がったが、中大の後輩でもある亀井は我慢できず、「こっちだって頑張ってやってるんだよ!」と言い返した。普段は紳士的で優しい男は「この世界ではよくあることだから、本当は言っちゃ駄目だけど、イライラしていて…」と打ち明けた。怒りと悔しさをバットに込めて、孤軍奮闘の活躍を見せた。

 0―0の5回、右翼席へ先制の4号ソロ。「結果を意識しすぎず、我慢して辛抱強くやる」と自らに言い聞かせて放った12打席ぶりの安打は、4月5日の阪神戦(東京ドーム)以来、3カ月ぶりの一発だった。「一本打って楽に入れた」と、7回にも5号ソロを右翼ポール際へ放り込み、深刻な得点力不足にあえぐ打線を救った。

 2日前のジャイアンツ球場での練習。原監督からバットの軌道や体の開きが早い点を指摘され、修正した。前日は6打数無安打に倒れたが、「いい当たりは出ていた」とプラス思考で気持ちを切り替え、今季5度目の猛打賞につなげた。1試合2発はくしくもちょうど2年前、同じ7月5日のDeNA戦(東京ドーム)以来となり、「まさか2本も打てるとは思っていなかったので驚いています」と喜んだ。

 8カードぶりに勝ち越した原監督は「亀ちゃん、ナイスバッティングですね。なかなか我が軍はああいう点の取り方はできていない。チーム全体の何かのきっかけになれば」と打線の復調に期待を込めた。3番・坂本、4番・阿部はともに4打数無安打。亀井は言う。「僕みたいな中堅が頑張って、カバーし合ってやっていければ。球宴までに一つでも貯金をつくりたい」。2位に浮上したものの、まだ借金1。球宴まで残り8試合。背番号9が打線の起爆剤となり、チームを押し上げる。 (青木 貴紀)

 ≪28年ぶり≫亀井(巨)が2打席連続本塁打。亀井の1試合2本塁打は7度目で、うち2打席連続は09年8月4日広島戦でサヨナラ弾を含む2発を打って以来3度目。巨人で個人の1試合2本塁打は今季初めてとなった。また巨人はスコア2―0で勝利。巨人が打者1人のソロ2本だけで勝つのは、93年8月24日阪神戦(2―0)でバーフィールドが打って以来。日本人では87年6月25日阪神戦(2―1)で駒田が記録して以来28年ぶり。

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