最下位からわずか10日!ヤクルト奪首 山田けん引7戦6発

[ 2015年7月3日 05:30 ]

<ヤ・神>8回、山田はこの日、2本目の本塁打を放ちナインとハイタッチ

セ・リーグ ヤクルト10-1阪神

(7月2日 神宮)
 大混戦のセ・リーグは再び全球団に貯金がなくなり今度は10日前に最下位だったヤクルトが首位に躍り出た。2日、阪神に大勝して4連勝。勝率5割で並んだが、勝利数が多いため、4月29日以来の首位に立った。絶好調の山田哲人内野手(22)が5回に2試合連発となる16号ソロを放つと、8回にも17号ソロ。この日、マツダオールスターゲーム2015に監督推薦で2年連続出場を決めた若武者は、最近7戦6発と量産し、チームをけん引している。

 3点リードした5回の攻撃前。ヤクルトの一塁側ベンチ前では円陣が組まれた。三木作戦兼内野守備走塁コーチから「後ろ(救援)の投手も頑張っているから楽にさせてあげよう」の声が飛ぶ。接戦続きで、ロマン、オンドルセク、バーネットの勝利の方程式は連投中。「点を取れ!」との号令に即、反応したのが山田だった。

 フルカウントから能見の内角直球をコンパクトに振り抜き、2戦連発の16号ソロを左翼席に突き刺した。さらに衝撃は9―1の8回だ。2ボールから「空振りしてもいいと、思い切り自分のスイングをした」というフルスイングで、島本の直球を左翼席上段に運んだ。

 「チームの雰囲気が凄くいいので、続けていけるように頑張りたい。あしたも勝って、貯金生活を送りたいと思います」

 最近4試合で3度目のお立ち台に、自然と声も弾む。今季3度目のマルチ本塁打、最近7試合で6発と量産態勢に入り、リーグトップの同僚・畠山に2本差に迫った。好調の要因を「フルスイングできている。自分のタイミングで打てているのが一番」と話す。そのフルスイングは、夢舞台への予行演習となった。

 試合前に吉報が届いた。監督推薦で2年連続2度目の球宴出場が決定。「素直にうれしいです」と喜んだ22歳は、真剣なまなざしで宣言した。「全打席で本塁打を狙います!!」。これは「球場が盛り上がるような打撃をしたい。本塁打を打たないと面白くないし、打てば賞にも近づける」というお祭り舞台ならではの山田流の盛り上げ方だ。

 初出場だった昨年は、甲子園で行われた第2戦で見事にアーチを描き、敢闘賞をゲットした。2度目となる今年は「大谷君の直球を打ちたい。160キロ?狙います」と、2学年下の日本球界最速右腕にターゲットを定めた。狙うは一発、そして2年連続の賞ゲットだ。

 チームは今季3度目の4連勝。勝率5割ながら首位に立った。「これからが本当の勝負。気を引き締めて一試合一試合戦いたい」と口元を結んだ山田のバットで、大混戦の戦いを抜け出していく。 (町田 利衣)

 ▼ヤクルト・真中監督(単独首位に)先は長いが気分的に乗っていけると思う。山田?素晴らしい集中力でやっている。

 ◆セ・リーグ優勝決定方法 レギュラーシーズン勝率1位の球団が2球団以上となった場合は(1)最も勝利数が多い球団(2)勝利数が同じ場合はシーズン中の当該対戦で勝ち越している球団(3)当該対戦が五分のときは前年度順位が上位の球団――となる。パ・リーグは勝利数に関係なく当該対戦の成績で決める。

 ≪7勝1敗の猛チャージ≫ヤクルトが4連勝で4月29日以来の首位に立った。6月22日現在で首位巨人に3・5ゲーム差の6位だったが、以後8試合を7勝1敗の猛チャージで急浮上した。セでは中日が60年5月14日時点での6位から8勝2敗と盛り返し、同26日に首位に立っているが、6月以降にこれだけ短期間で最下位から首位はヤクルトが初めてだ。この日は山田が16、17号。最近8試合に山田は34打数14安打(打率・412)、6本塁打、10打点と大暴れ。チームの首位奪回に貢献している。

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