【金本知憲氏　アニキのなんでも相談室】少し考え方を変えるのも必要では？

　【相談】私は某企業で中間管理職の立場として仕事をしております。「アニキ」と慕われた金本さんに聞くことではないかもしれませんが…。自分自身の仕事に対する姿勢について相談したいと思います。私は「沈黙こそ美徳」と思い、ここまで働いてきた中では上司から言われたことは誠実に聞き、部下からの意見も積極的に取り入れた上で、自分の仕事にまい進してきたつもりです。しかし最近は、上司からは便利屋と見なされ、部下からは、なめられているように感じます。私のような立場の人間は、どのような姿勢で仕事に取り組めばよいと思われますでしょうか。最近、悩んでいます。　（徳島県　３９歳　男性）

　【意見】非常に難しい質問ですね。特にトップと、中間の立場の方は一番難しいと思います。ここでは「沈黙こそ美徳」という言葉を口にされていますよね。もちろん「沈黙こそ美徳」というケースはあると思いますよ。逆に「しっかりと物事を言うことも美徳」ということもあります。自分が自信のあることや、正しいと思ったことを言葉にするのも美徳だと思います。やはり態度だけでなく、言葉を発して言わないと伝わらないことは多くあります。

　まず「美徳」の意味は美しい徳、道にかなった行いとあります。ですから、やはり場面に応じた使い分けも必要かと感じます。自分の意見を言えることこそ、美徳という考えも取り入れてはどうでしょうか。そうすれば、上司からは便利屋とは見られないでしょうし、部下からはなめられないと思います。

　ただ、年上の人と、年下の人とでは接する態度が多少違うことは当たり前です。例えば言葉遣いにしても違いますよね。しかし基本的には誰に対しても態度を変えないスタンスは大事。その中で仮に「沈黙が美徳」と思っている人が、何かを強く発したときの言葉には重みがあると思います。普段、沈黙を持っている人の一言は周りにも言葉の重みが伝わる場合があります。「あの人がここまで言うのか…。それは、よっぽどのことだな」とか。

　凝り固まった考え方を変えることは簡単なことではないと思います。ただ、少しは考え方を変えようと努力することも必要ではないでしょうか。実際に上司からは便利屋と思われ、部下からはなめられているように感じていますよね。そう思うのであれば、まずは自分自身も少しずつ変わろうとすることから始めてみては、どうでしょうか。

（金本知憲＝本紙評論家）

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