父は掛布氏と高校同級生!巨人・阿部 憧れの人に並んだ349号

[ 2015年6月28日 05:38 ]

<ヤ・巨>7回1死、先制の3号ソロを放った阿部ナインの出迎えに笑顔

セ・リーグ 巨人1-0ヤクルト

(6月27日 静岡)
 巨人・阿部慎之助内野手(36)が27日、ヤクルト戦の0―0の7回、バックスクリーンへ決勝の3号ソロを放った。1カ月ぶりのアーチは「ミスタータイガース」と呼ばれ、幼少の頃から憧れていた阪神・掛布雅之GM付育成&打撃コーディネーター(60)に並ぶプロ通算349本塁打。首痛から復帰後も不振に苦しんだ主砲が、待望の一発でチームの連敗を3で止め、勝率を5割に戻した。

 ついに幼少期からのヒーローに肩を並べた。元阪神の掛布氏に並ぶ通算349号。ゆっくりとダイヤモンドを一周した阿部は満面の笑みを浮かべ、ホームを踏んだ。

 「憧れの方に並ぶことができてうれしい。実感はないけど、次は350号を目標に1本ずつ積み重ねていきたい」

 0―0の7回、新垣の144キロ直球を完璧に捉えた。打球は草薙球場特有の強い逆風を切り裂き、バックスクリーンまで達した。「風もあったしセンター方向の打球だったので入るとは思わなかった」。均衡を破る先制の3号ソロ。首痛から復帰6試合目、5月26日西武戦(郡山)以来1カ月ぶりとなる待望の一発は、そのまま決勝点となった。25日から2日続けて原監督から指導を受けインパクトの瞬間だけに力を入れる感覚を確認。復調へ導いた指揮官は「あの場面であれだけ強振して非常にスイングの精度も良かった。いい意味できっかけになってくれるといい」とうなずいた。

 掛布氏の数字をずっと追いかけてきた。父・東司さん(60)は掛布氏と習志野高でクリーンアップを組んだ同級生。幼い頃、父からいつも「掛布はこんな凄い練習をしていたんだぞ」と聞かされ「自然と憧れを抱くようになった」と言う。友達と神宮球場に足を運び、阪神の4番の打撃に魅了された。「左打ちになったのも掛布さんの影響」。もともとは右打ちだったが、小学2年時に右目の視力だけが突発的に落ち、父の勧めで左打ちに転向。視力が戻ってからも左打ちを続けた。

 掛布氏は球場で会うたびに「俺の記録まであと何本だ?」と気にかけてくれた。昨年11月の日米野球ではゲスト解説で同席。「憧れの人と一緒に解説できるなんて…夢のようで本当に感激した。一生、忘れられない思い出になった」。憧れの思いは色あせることはなく、少年のようなまなざしで振り返る。そのヒーローの記録を超えることをプロ野球人生の目標に置き、安打(1764)、打点(1051)は抜いた。そして、本塁打もプロ15年目で並んだ。

 主砲の一発でチームの連敗は3でストップ。勝率も再び5割に戻し、阿部は「こういうゲームで一本打てて良かったよ」と振り返った。あと1本で節目の通算350号。達成すれば、掛布氏から食事をごちそうしてもらう予定だ。阿部にとって偉大な「349号」を抜き去り、最高のディナーを堪能する。 (青木 貴紀)

 ▼阪神・掛布雅之GM付育成&打撃コーディネーター 子供の頃から知っている選手で本塁打記録に並んでくれたのは凄くうれしい。阿部にとっては通過点ながらも、次の350本目は野球人生の中でも非常に重い、節目の一本になると思う。早く打ってもらってお祝いの食事に行きたい。

 ≪1―0弾初≫阿部(巨)が7回決勝の3号ソロ。通算349本塁打とし、歴代28位の掛布(神)に並んだが、1―0アーチはプロ入り初めてだ。この日はバックスクリーンに飛び込む一発。自身中越え本塁打は12年9月25日広島戦の8回に大竹から放って以来3年ぶりになる。また、静岡草薙では通算26打数10安打(打率・385)、3本塁打、6打点と相性がいい。

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