ルースになれ!阿部に原道場 ゆかりの地で自らトス上げ密着指導

[ 2015年6月26日 05:30 ]

阿部(左)に打撃指導する原監督

 打撃不振の巨人・阿部が、静岡・草薙球場での全体練習で原監督から打撃指導を受けた。フリー打撃後、ベンチ裏へ引き揚げようとした時だ。「慎之助!」。指揮官が手招きし、即座に「原道場」が開講した。

 身ぶり手ぶりでアドバイスを送りながら、自ら70球以上のトスを上げた。「バットの重みで振れ」「バランスを崩さないでちょっと力を入れる」「顔は残し気味に」。さまざまな言葉を掛けたが、全体を貫く指導テーマは「シンプル」だ。

 原監督は言う。「本当に本当の、原点の部分。(頭では)分かっている人だろうから。でも、シンプルに考えた方がいいんじゃない、ということ」。阿部は首痛による戦線離脱から交流戦明けに合わせて復帰したが、5試合で打率・167で打点はない。責任感の強い男に考えすぎず、力みすぎないよう説いた。阿部も「力が伝わるところで(打つ)という解釈。軽く振ってもボールに力が伝わっている」と金言をシンプルに受け止めた。

 26日から2試合を行う草薙では、チームは04年以降、2勝8敗。しかし、阿部自身は通算22打数9安打、打率・409、2本塁打、5打点と相性がいい。原監督は練習中「御利益あるかなあ」と正面入り口付近に立っているベーブ・ルースの銅像を見上げた。かつて元巨人のクルーンは、阿部のことを「外国人投手はBABEのBを取って、エーブ(ABE)・ルースと呼んでいるよ」と話したことがある。指揮官の目は、通算714本塁打の「野球の神様」に阿部の復活を祈願しているかのようだった。

 チームは6月に入り、急失速で借金1まで落ち込んだ。得点力不足解消に、阿部の復活は欠かせない。伝説の球場が、復活ロードの出発点になる。

 ▽草薙球場とベーブ・ルース 1934年(昭9)に全米選抜の一員として来日。11月20日に日米野球の最終戦が静岡・草薙で行われ、ルースは当時17歳だった沢村栄治から三振を喫した。沢村は9回9奪三振で1失点と球史に残る快投を披露。その史実を伝えるべく、91年3月に球場前にルースと沢村が、打者と投手として向き合っている銅像が建立された。

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