「大物ルーキー」が看板倒れで大喜び 高校球児たちの“生態”「野球部あるある」

[ 2015年6月26日 10:00 ]

沖縄大会を皮切りに全国各地で夏の地方大会が始まる

 6月20日の沖縄大会を皮切りに、ついに夏の高校野球がスタートした。これから灼熱(しゃくねつ)のスタジアムの主役になる高校球児とは一体どのような“人種”なのか。高校の野球部員ならあたりまえ、それ以外の人には未知の「生態」を研究している野球ライターの菊地選手が「夏の大会前の野球部あるある」についてつづった。

 ほぼ全員が丸刈り頭で、先輩・指導者を含めた身分階層があり、グラウンドで奇声を張り上げる。そんな平成最後の珍獣「野球部員」の生態を私は研究し続けている。

 いよいよ勝負の夏を控え、野球部員はどのような行動に出る傾向があるのか。「あるある」形式でご紹介したいと思う。

 【野球部あるある1】「気合を入れるため」と頭を五厘刈りに丸める

 当然のことながら、野球は頭髪の長さを競うスポーツではない。しかし、集大成の夏を前に髪の毛を野球の“神”に献上するがごとく、多くの野球部員がバリカンを頭に入れる。その最終形態が「五厘刈り」だ。ただし、そんな気合満点の野球部員ばかりではない。なかには夏の大会後の「引退ライフ」を見越して、負けそうなタイミングにほどよく伸びるよう調整している不届き者もいるので、注意が必要だ。

 【野球部あるある2】「大物ルーキー」が看板倒れだとわかり、大喜びするベンチ入り当落線上の3年生

 有望な1年生入学の噂は、光よりも速く部内を駆け巡る。いったいどんな怪物がやってくるのか…。自分の地位をおびやかすまだ見ぬ存在におびえて過ごし、桜が散る頃「あれっ、意外とたいしたことないぞ」と判明した時の安堵と喜び。誰もがスーパーヒーローになれるわけじゃない。こんな小市民的な野球部員もいるのだ。

 【野球部あるある3】大会前の体育の授業でケガをして、最後の夏を棒に振る3年生

 不思議と毎年どこかで耳にする不幸な事件。これが実際に起きると笑えないので、とにかく注意してほしい。

 【野球部あるある4】夏の大会に向けて嫌がらせのように存在する期末テスト

 夏に向けて調子をピークに高めていくべき時期、しかしその前に立ちはだかる高い障壁こそ「期末テスト」だ。せっかく好調で大会を迎えられそうなのに、勉強との両立がうまくいかず、リセットされてしまうことが多い。筆者も高校3年夏のあるテストで、答案の白紙部分に「最後の夏にかける熱い思い」をつづったが、帰ってきた答案には「0」という数字が刻まれていた。3年生部員は「夏の大会に集中したい」という言い訳は、先生には通用しないということを心得ておこう。

 【野球部あるある5】控え選手にとって最も重大な日は公式戦当日ではなく、背番号発表の日

 自分が背番号をもらえるかどうか、それは夏の“合格発表”。1ケタのレギュラー番号なんて望まない。何番でもいいから背番号をもらって、ベンチに入りたい。そんな野球部員の切実な思いが交錯するのが、メンバー発表の日だ。特に3年生で、好き好んで最後の夏をスタンドで過ごしたい部員などいない。もし背番号をもらえなかったとしたら、その晩は思い切り泣くがいい。ただし、次の日にどんなふるまいを見せられるかで、人間としての器がはかられるということも覚えておいてほしい。

 ◆文=菊地選手(きくちせんしゅ) 1982年生まれ、東京都出身。野球専門誌『野球太郎』編集部員を経て、フリーの編集兼ライターに。元高校球児で、「野球部研究家」を自称。著書に『野球部あるある』シリーズがある。

続きを表示

2015年6月26日のニュース