キヨシ名采配で逆転勝利!連敗12で脱出「これでまた開幕」

[ 2015年6月24日 05:30 ]

<巨・D>9回2死一塁、筒香の中越え2ランにバンザイする中畑監督

セ・リーグ DeNA7―2巨人

(6月23日 東京ドーム)
 ミスターの前で連敗を止めた。DeNAは23日、巨人に逆転勝ちし、連敗を12で止めた。0―2の6回に倉本寿彦内野手(24)と代打・下園辰哉外野手(30)がともに2点適時打を放って逆転。中畑清監督(61)の新人の先発起用と代打策が的中した。巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(79)が観戦。恩師が見守る前で、21日ぶりの白星を挙げた。DeNAが唯一貯金のあった首位・巨人に勝ったことで、セ・リーグ全球団が勝率5割以下になった。

 長い、長いトンネルを抜けた。中畑監督は心底ホッとした表情だった。宿敵の巨人を相手に、敵地の東京ドームで逆転勝ち。ついに連敗を12で止めた。2日のソフトバンク戦(横浜)以来、実に21日ぶりの白星。「こういう日が迎えられるとは。いやあ、良かったな。東京ドームという環境がいいね。先制されて、“この野郎”というのがあった。選手が集中していた」とねぎらった。

 指揮官のタクトがさえわたった。0―2の6回。2死満塁から倉本が左前に同点2点打。高木勇に7打数4安打と相性の良かった新人を7番で先発起用し、倉本も新人対決を制して期待に応えた。そして動いた。「代打・荒波」。四球で再び満塁とすると、先発の久保に代えて「代打・下園」。代わった戸根から中前に勝ち越しの2点打を放ち、一気に逆転だ。「チャンスがあれば攻めダルマ。選手がいなくなってもいいと思った」と迷いなく代打攻勢を仕掛けた。決勝点を挙げた選手会長の下園は、「12連敗で苦しかったけど、チームのみんながつないでくれた。本当に根性だけで(走者を)還そうと思った」と声を弾ませた。

 貯金11の首位快走から借金3まで転落。練習前に今季初めて選手だけが集まったミーティングを開いた。主将・筒香、選手会長・下園が中心になり、「球宴までに勝ち越そう」と誓い合った。勝ち越すには球宴までの18試合で11勝7敗が条件。劣勢をはね返した白星で再スタートを切った。

 中畑監督は恩師の前で大型連敗を止めた。12連敗中だった21日夜、電話で激励のメッセージをもらった長嶋氏が観戦。「お会いできなかったけど高い質の野球を見せられたと思う」。指揮官の都内の自宅には大事に保管されている写真がある。壮絶な練習量で伝説化した79年秋の伊東キャンプ。昨オフ、その「地獄のキャンプ」を取り上げたテレビ企画で長嶋氏に、篠塚和典氏、松本匡史氏、角盈男氏ら当時の仲間と再会して記念写真を撮った。「あのキャンプがあるから今の俺がある。オヤジ(長嶋氏)、いい顔しているだろ?俺もオヤジみたいにファンを喜ばせて勝つ野球をしたいんだ」。その思いが色あせることはない。

 首位・巨人が敗れ、1ゲーム差に迫った。「これでまた、“開幕”が迎えられる。凄いシーズンだね。ジェットコースターだよ。あすが大事」。最高のシナリオを目指し、たまった鬱憤(うっぷん)をこれから晴らす。

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