由伸 58年ぶり40歳代打弾 連敗4で脱出、貯金0首位回避

[ 2015年6月21日 05:30 ]

<巨・中>7回無死二、三塁、中日・田島から左中間に3ランを放つ巨人・高橋由

セ・リーグ 巨人7-1中日

(6月20日 東京D)
 巨人の高橋由伸外野手(40)が20日、中日戦の7回無死二、三塁から代打で試合を決める3号3ラン。チームは連敗を4で止め、負ければ首位ながら勝率5割にまで落ち込む屈辱を免れた。自身7本目の代打本塁打で、40代では57年の南村侑広以来、球団58年ぶり2人目の快挙。今季から打撃コーチ兼任となった18年目のベテランだが、一撃必殺の打撃は全くさび付いていない。

 一緒にお立ち台に上がった亀井は「もう神様です」と隣を見た。これには高橋由も思わず照れ笑い。「(インタビュアーに)急に振られて、言うことが思いつかなかったのかな」とおどけたが、まさに「神様級」の価値ある代打3ランだった。

 2―0の7回無死二、三塁、同じ40歳の井端の代打で登場し、1ボールからの2球目だ。田島の144キロのフォークを振り抜くと、バックスクリーン左へ。「次の1点は試合を動かす。最低でも外野フライと思っていた。良いホームランでした」。ここ10試合で1勝9敗と停滞していたチームの空気をガラリと変える3号。40代での代打弾は57年の南村以来、球団2人目の快挙となった。

 40歳となった今も向上心は衰えていない。10日ほど前から右足を傾斜のある台に置き、軸足の左足に意識的に体重を乗せて打つティー打撃を導入。上体が流れないようにする狙いもあった。田島は昨年7月6日(東京ドーム)にも井端の代打として対戦し、決勝2点中前打。この日も軸足にしっかりタメをつくり、逆方向に強烈な一発をお見舞いし「唯一、ゆっくり走れるので一番良い時間」と笑った。

 コーチを兼任する今季。リーグ戦再開2日前の17日はコーチ業に専念し、アンダーソンにバットの出し方を助言した。二足のわらじを履きながらも、昨季代打で球団記録にあと1と迫る17打点を記録した勝負強さは健在だ。試合展開を見ながら代打で起用されるタイミングを考え、心と体を最高の状態に高める。そして一振りで仕留めた。

 原監督の采配も見逃せない。7回、完封ペースのマイコラスが先頭で四球を選んだことで「攻撃に入った」と代走・鈴木を起用した。長野の二塁打を挟み、高橋由の代打弾が飛び出した状況を「最近は我々が守るという気持ちを出しすぎ、結果として選手にプレッシャーをかけていた。それが反省点」と説明。負ければ貯金がなくなる試合で攻めの姿勢を出した。

 まだまだセ・リーグは混戦模様。「勝ったり負けたりはしょうがない。日々、新たな気持ちで挑むしかない」と、高橋由は一喜一憂せず、与えられた役割を黙々とこなしていく。

 ◆南村侑広 1917年(大6)4月17日、大阪生まれ。旧制市岡中では京都商の沢村栄治とも投げ合い、早大では首位打者を2度獲得。黒色に塗ったバットで「黒バットの南村」として人気だった。卒業後には三井信託銀行に就職も、32歳だった50年に新球団の西日本パイレーツ(現在は消滅)に入団。51~57年に巨人でプレーし、王貞治の前に背番号1を背負っていた。51年日本シリーズMVP。通算成績は774試合で打率・283、39本塁打、357打点。90年没。

 ≪王の背番1“先輩”南村以来≫40歳2カ月の高橋由(巨)が代打3ラン。高橋由の代打本塁打は通算7本目で、巨人で7本以上は15本の淡口を筆頭に7人目。巨人で40代打者の代打本塁打は、57年7月25日国鉄戦で40歳3カ月の南村が金田から記録して以来58年ぶり2人目となった。これで今季の代打成績は18打数7安打の打率.389。切り札として結果を残している。

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2015年6月21日のニュース