どうなる?野球くじ プロジェクトチーム座長・遠藤議員を直撃

[ 2015年6月18日 11:45 ]

遠藤利明氏

 果たして「野球くじ」は実現するのか――。今年4月、サッカーに加えてプロ野球が新たにスポーツ振興くじ(toto)の対象となるプランが浮上した。球界側には69年の「黒い霧事件」の影響から、賭けの対象となることへのアレルギーもあるが、今後の展開はどうなるのか。キーマンの一人である、超党派のスポーツ議員連盟のプロジェクトチーム座長・遠藤利明衆議院議員(65)に話を聞いた。 

 ――あらためて、プロ野球がくじの対象になった経緯を聞きたい。

 「今回は、野球だけではなく、ラグビーやバレーボール、バスケットボール関係者とも話はしている。ラグビーには“やってほしい”と言われた。バスケットボールは、リーグ合併問題の最中。ただ、川淵(三郎=元Jリーグチェアマン、日本バスケットボール協会新会長)さんとも話はした。“安定して運営できるかどうかを見て”という話になった」

 ――確かに、プロ野球は他競技に比べてもファン層が広い。スポーツ振興くじの意義とは?

 「スポーツの力を生かす、ということ。自分たち(の競技団体など)にとってプラスかどうか、ということよりも、例えばサッカーくじにしてもサッカーではなく、日本のスポーツ振興のためにやっている。予算を確保して、一般のスポーツの振興のために使う。野球界には、そこを理解してもらえるかどうかだな、とは思っている」

 ――プロ野球の今の位置付けをどう見ている。

 「野球は2020年の東京五輪で競技として復活する可能性がある。そうなると、JOC(日本オリンピック委員会)や体協(日本体育協会)などとの関係が出てくるだろう。10月にスポーツ庁ができれば、もっとだ。今までは、野球だけ、という形だった。これからは他のスポーツの組織とも付き合わなければならない。そこに入る覚悟があるかどうか、だと思う」

 ――「野球くじ」が導入された場合、収益は新国立競技場の改築費に充てるとも聞く。

 「それは、現在の(スポーツ振興くじの)割合を変えるなどすればいい。トータルで考えて、(野球くじと)新国立競技場は関係がない」

 ――進ちょく状況は。

 「NPB(日本野球機構)の関係者とは、5月から話をしている。アンダーグラウンドで継続している。ただ、まだあくまで話は途中、ということ」

 ――当初は、今国会中の法案提出も、という話もあったが。

 「6月24日(の通常国会会期中)までには無理だろう。その後に延長国会もあるはず。それまでに合意できれば、というのはあるが…。(その後の)7月にオーナー会議、選手会の総会があると聞いているから」

 ――プロ野球界では「黒い霧事件」があった。八百長問題にはアレルギーともいえる反応がある。難色の声も多いが。

 「最初から賛成、ということもないだろう。もし野球でやるならBIG(コンピューターが無作為に予想する非予想系くじ)になる。これは八百長は100%できない。確かに関係者の方は八百長のことを心配していた。その一方で、(このシステムなら)八百長ができない、ということも理解していただいた」

 ――今後の協議の進め方は?

 「とにかく丁寧に話をしていこうと思っている。(7月の)オーナー会議、選手会総会…。ただ、話がつくかどうか。急ぐことはないし、無理してできるものではない。仮に合意できなければ、無理して強制的にやるわけにはいかないから」

 ◆遠藤 利明(えんどう・としあき)1950年(昭25)1月17日、山形県生まれの65歳。中大法学部卒。議員秘書を経て83年から山形県議会議員を2期務める。93年の衆議院議員選挙で初当選。第1次安倍内閣では文部科学副大臣に就任。昨年12月の総選挙で7選。自民党所属。家族は夫人と1男1女。

 ▽黒い霧事件 選手が金銭の授受を伴う八百長に関与したとされる疑惑、事件。69~71年に発覚した。野球協約の「敗退行為」に該当するとして、西鉄選手ら計6人が永久追放処分を受けるなどした。

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