巨人時代思い…ハム矢野「今までなら代打」意気に感じた逆転弾

[ 2015年6月15日 05:44 ]

<日・D>6回1死一、二塁、3ランを放った矢野(左)は大谷に抱きつき笑顔を見せる

交流戦 日本ハム3-1DeNA

(6月14日 札幌D)
 二刀流を救う決勝弾だ。日本ハム・矢野謙次外野手(34)が、14日のDeNA戦で0―1の6回に逆転の左越え1号3ランを放った。移籍後初となる2年ぶりの本塁打で、8回途中1失点の大谷翔平投手(20)にリーグ単独トップの8勝目をプレゼント。巨人から移籍後、3試合で2度目のお立ち台にも上がった。日本ハムは交流戦の首位を守り、16日の阪神戦(甲子園)で引き分け以上なら勝率1位が決まる。

 その目はうっすらと潤んでいた。移籍後3試合目で早くも2度目のお立ち台。札幌ドームに集まったファンから大歓声を浴びた矢野は巨人時代を思い出しながら、本音を漏らした。

 「今までだったら打席に立てていない。代打を送られていた。あそこを行かしてもらって絶対に打ってやろうと思った。マジ、気合を入れて打ちました」。ベンチの栗山監督も目を潤ませて、矢野の言葉を聞いていた。

 0―1で迎えた6回1死一、二塁。右打者の矢野に打席が回ってくると、DeNAは先発の左腕・砂田から右腕・平田にスイッチした。巨人時代なら右投手に代わった時点で、代打を送られるケースが多かった。ところが、新天地では違った。意気に感じた。

 「中田君と岡君が(連打で)つくってくれたチャンス。初球からいこう」。その積極性は吉と出た。初球、甘いスライダーを完璧に捉え、左翼ポール際へ叩き込む逆転3ランとなった。矢野の初球打ちの成績は圧巻だ。通算123打数46安打、打率・374、5本塁打。「6番・DH」で3戦連続起用した栗山監督も「ストライクは3球あるが、謙次(矢野)は1球しかないと思ってフルスイングする」と、その信念の強さを認めた。

 13年8月22日のヤクルト戦(神宮)以来、661日ぶりの移籍1号は、矢野にとって忘れられないアーチとなった。大谷を救う決勝弾となったからだ。少年野球で遊撃を守る小学校3年生の長男・丈太郎君(8)の姿を思い浮かべた。熱烈な大谷ファン。横浜市内の自宅は札幌を本拠地とする日本ハム移籍によって遠く離れた。これまでのように2人でキャッチボールをする回数も減るが「大谷君は自分と息子の憧れの投手。“ファイターズに行くんだよ”と伝えたら大喜びしていた。彼が投げる試合で打ててよかった」とパパの顔で笑い、お立ち台では2日前に続き「ファイターズ最高!」と絶叫した。

 矢野加入後、チームは3連勝。交流戦も残り1試合となり、16日の阪神戦(甲子園)で引き分け以上なら、賞金1500万円を獲得する交流戦の勝率1位が確定する。「みんなの力を合わせて1位になりたい」。普段の矢野は記念球にこだわらない。そんな男がホームランボールを持ち帰った。その目は、丈太郎君の笑顔を思い浮かべていたのだろう。

 ▼日本ハム・大谷 あの場面で打てるのは凄い。DHで投手が代わるところで集中力を持って打席に立てるところが凄い。矢野さんは僕が野球を始めた頃と同じくらいの子供がいて、楽しいんだろうなと思う。

 ≪2年ぶり一発≫矢野(日)が移籍後初となる逆転1号3ラン。本塁打は巨人時代の13年8月22日ヤクルト戦で石川から放って以来2年ぶり。通算では28本目になるが、逆転弾は07年5月31日ソフトバンク戦(代打満塁)で記録して以来8年ぶり2本目だ。これでチームは交流戦1試合を残し、勝率1位をキープ。2位のソフトバンクはこの日で全日程を終了し12勝6敗(勝率・667)。日本ハムはあす16日阪神戦に勝てば最終12勝5敗1分け(・706)、引き分けでも11勝5敗2分け(・688)となり交流戦勝率1位が確定する。

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