則本　ダルに並んだ！交流戦最多５度目完封「自分は自分」

＜楽・中＞散発３安打の完封で４勝目の則本

交流戦 楽天４－０中日

（6月14日 コボスタ宮城）
　勝負どころでギアを上げた。４―０の７回。楽天・則本は２死三塁のピンチを招き、和田を迎えた。前カードで２０００安打を達成し、今カードでも絶好調のベテラン打者。自然と力が入り、３ボールとカウントを悪くした。それでもフルカウントに持ち込み、この日最速タイの１５１キロ直球で空振り三振を奪った。

　「最高のボールを投げてアウトを取れたので気持ちが出ました」。マウンドで雄叫びを上げ、グラブを叩いた。散発３安打。昨季はシーズン７度の球団新記録をマークした「代名詞」の完封勝利を今季初めて達成した。

　「うれしい。最初の方は制球が定まっていなかったが、回を追うごとに自分の投球ができた」

　中日の策を逆手に取った。相手は決め球のフォークを警戒し、早打ちだった。序盤でそれに気づき「初球から気をつけながら投げた」という。初球から力強い直球で内角を突き、スライダーを外角いっぱいに投げた。ストライク先行で打たせて取り、４回まで無安打。わずか１０５球で９回を投げきり、今季チーム最短の２時間２４分で試合を終わらせた。大久保監督も「今年一番安心して見られる投球」と称えた。

　３年連続の開幕投手を任されながら、黒星が先行。好投しながら、打線の援護に恵まれないことも多く約１カ月、勝利から遠ざかった時期もあった。「開幕直後は結果を残さないと、といろいろ思いすぎていた」。目に見えない重圧を背負い、自分の首を絞めていた。頑張っていればおのずと結果はついてくる――。そう信じ「口にしていかないと忘れてしまう」と、あえて「楽しんでやろう」を口癖にし、これで４勝５敗とした。

　交流戦通算５度目の完封勝利は、同じ楽天の田中（現ヤンキース）を抜き、日本ハム・ダルビッシュ（現レンジャーズ）と並び、歴代最多となった。憧れの先輩を超え、その田中が憧れるダルビッシュに追いついた。「そういう凄い人と引き合いに出されるのはうれしいけど、自分は自分」。どこまでも謙虚だった。

　チームは２年ぶりの交流戦勝ち越しを決め、借金１とした。「こういう投球を続けていきたい」と則本。リーグ戦再開に向け、エースが本来の姿を取り戻した。

　▼楽天・小関（則本について）コントロールが良かったので序盤は内角に見せるのでなく、勝負した。和田さんから三振を奪った直球が一番良かった。

　≪マー君を抜いた≫則本（楽）が昨年６月２１日の阪神戦以来交流戦通算５度目の完封勝利。田中（現ヤンキース）の４度を抜くチーム最多記録で、ダルビッシュ（日＝現レンジャーズ）に並ぶ歴代最多になった。なお、２人が５完封までに要した年数、試合数を比較すると、ダルビッシュの７年、３０試合に対し、則本はわずか３年、１４試合と圧倒的に速い。また、交流戦通算８勝のうち、昨年５月２２日のＤｅＮＡ戦以降に挙げた最近の５勝を全て完封で挙げている。