ロッテ吉田 プロ初サヨナラ打!正捕手争いライバルに負けん

[ 2015年6月15日 05:30 ]

<ロ・巨>9回2死満塁、吉田(中央下)がサヨナラ安打を放ち、ナインの手荒い祝福を受ける

交流戦 ロッテ3-2巨人

(6月14日 QVC)
 9回表からマスクをかぶった男にその裏、絶好機が訪れた。ロッテは0―2から福浦、今江の適時打で追いつき、なおも2死満塁。2年目の吉田が打席に入った。

 「絶対に自分が決めるつもりだった。2死満塁で最高の場面なので」。巨人の守護神・沢村が4球続けてきた直球。149キロの威力にバットを折られながらも左前に運んだ。高めに外れた直球だったが「本当は振っちゃいけないボール球だったけど、とにかくバットをぶつけた」と無我夢中で打ったプロ入り初のサヨナラ打だった。チームにとっても今季初で、同一カード3連勝も今季初めて。吉田は「初ものづくし」の立役者になった。

 先発マスクをかぶった5月4日ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)で石川が6回5失点。吉田はリードで助けることができなかった。宿舎に戻ると、アポなしで伊東監督の部屋を訪ねた。「結果が出なくて、名捕手だった監督にアドバイスをもらいたかった」。突然の訪問に指揮官は驚いたが、「何とかしようという気持ちが伝わってきたので、いろいろと話をした」という。捕手として成長したい一心だった。

 ライバルの活躍にも触発された。石川とは昨季から常にバッテリーを組んできたが、前日の同カードでは正捕手を争う田村に女房役を奪われた。しかもプロ1号でお立ち台に上がる姿を見た。素直に喜べなかった。「田村も一生懸命やっているけど、やっぱり悔しかった」。この日の先発マスクも田村。吉田はベンチでじっと出番を待ち、バットで勝利に導いた。

 正捕手候補の競争心が生んだ3連勝。伊東監督はこう言い表した。「田村が活躍して、吉田の“きょうは俺が”という気持ちが乗り移ったヒットだった」。昨季限りで正捕手だった里崎が引退。「捕手のポジションは1つしかない。田村に勝たないと試合には出られませんから」。吉田の言葉は力強く、頼もしかった。

 ◆吉田 裕太(よしだ・ゆうた)1991年(平3)7月21日、千葉県生まれの23歳。日大三では主将を務め、3年夏に甲子園に出場し2回戦敗退。立正大では2年時に大学日本代表入り。13年ドラフト2位でロッテに入団した。1年目の昨季は50試合に出場し、打率.220、2本塁打。強肩が売りで、二塁への送球到達タイムは1.90秒。1メートル83、94キロ。右投げ右打ち。

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