広島・黒田も認めた才能「末恐ろしい」　ソフトＢ柳田のフルスイング

＜ソ・広＞初回１死二塁、右前打を放つ柳田。投手・黒田

交流戦 ソフトバンク０－６広島

（6月12日 ヤフオクＤ）
　今季５度目となる零敗の夜。ただ、この男だけは際立っていた。ソフトバンク・柳田は憧れの黒田との公式戦初対戦にフルスイングで挑んだ。初回１死二塁。内角１４３キロカットボールを引っ張ると、痛烈な打球は一、二塁間を破る。６回の第３打席も左前打。鮮烈なマルチ安打だった。

　「負けたので悔しい。コントロールがいいですね。打ち取り方というか、そういうところが分かっている感じだった」

　１１日の阪神戦（ヤフオクドーム）では左手首に死球を受けて途中交代。診断結果は打撲だったが「折れたと思いました」というほど痛みはひどく、前夜はスイングさえできなかった。それでも痛みの残る左手首を圧迫し、テーピングで固定。早出特打にも顔を出し、ロングティーで調整した。

　対戦を熱望していた。交流戦開始前の５月１１日に行われた交流戦会見では「憧れていた選手なので対戦したい」と黒田の名前をフリップに記した。広島市で生まれ育った「元カープ男子」。予告先発のなかった時代に広島市民球場へ通ってもなかなか「黒田」に当たらなかった思い出もある。

　熱い思いはマウンドにも伝わった。対戦した黒田は「あれだけ日本人でしっかり振れる打者はなかなか、いない。まだまだ若いし、末恐ろしい」と才能を認めた。

　「やられてもうた。やっぱり、いいピッチャー。配球を含めてこんなピッチングされたら、うちだけじゃなく、どこも打てないよ」と工藤監督はお手上げ。１０年５月２２日から本拠地での広島戦の６年越しの連勝は８（１分けを含む）で止まった。ただ、驚異の回復で憧れの黒田へ「爪痕」を残した柳田の暴れぶりは、敗戦の中の光明だった。