圧投マー君に20発男お手上げ!前打席でソロ打ったのにバント試み三振

[ 2015年6月11日 05:30 ]

<ヤンキース・ナショナルズ>7回、先頭のハーパーをスリーバント失敗の三振に仕留める田中

インターリーグ ヤンキース6―1ナショナルズ

(6月9日 ニューヨーク)
 ヤンキースの田中将大投手(26)が9日(日本時間10日)のナショナルズ戦に先発し7回5安打1失点、6奪三振無四球で今季4勝目を挙げた。本塁打王争いに加わるブライス・ハーパー外野手(22)との対決では4回に一発を許したが、続く7回はバント安打を狙われ、スリーバント失敗で三振という意外な結末。若きスターにプライドを捨てさせた快投で、13年サイ・ヤング賞右腕マックス・シャーザー投手(30)との投手戦を制した。

 田中のダッシュは、明らかに不意を突かれていた。緊迫した投手戦は1―1のまま7回に入り、先頭はハーパー。前の打席で中越え20号ソロを放った主砲が何とセーフティーバント、それも2ストライクからバント安打を狙ってきたのだ。

 3球連続のスプリットで、田中は1ボール2ストライクと追い込んだ。ハーパーの視線が動く。左の強打者に備えて内野陣は右に寄り、三塁線ががら空きとなっていた。そこを突こうとしたバント。結果はファウル…三振が記録された。観客はあ然。ナ軍ベンチではマット・ウィリアムズ監督が落胆で額を押さえた。

 「田中は攻略するのがタフな投手。直感だったが、うまくいかなかった」とハーパー。12年新人王で、19歳でのメジャーデビューから4年連続2桁本塁打を放ち、バリー・ボンズら大打者と比較される外野手だ。今季は強打者の指標とされる長打率と出塁率を足したOPSがメジャートップの1・187。20本塁打はマーリンズ・スタントンの21本を追う両リーグ2位にいる。その男のあまりに意外なバント安打狙いが、田中の難攻不落ぶりを際立たせた。

 マウンドにも強敵がいた。田中が7年総額1億5500万ドル(約191億円)の契約なら、投げ合ったシャーザーは7年総額2億1000万ドル(約258億円)。全米も注目した計449億円対決だった。「僕は(メジャーでの)実績が全然ない。ただ向かっていくだけ。投げ合いという意味ではこっちは勝手に意識していました」。投げ合う相手に珍しく闘志をかき立てられ、2年連続ア・リーグ最多勝右腕をしのぐ投球を見せた。

 最速97マイル(約156キロ)で直球が全投球の59%を占めたシャーザーに対し、田中は最速95マイル(約153キロ)で直球は24%。「打たせて取る投球に途中で切り替えた」とスプリットなどの多彩な変化球を徹底的に低めに集めた。ストライク率は72%でシャーザーの68%を上回り、メジャーで2試合連続無四球は初。7回を87球でカバーした。

 故障者リストから復帰後初の本拠地登板でチームの7連勝に貢献。次は15日(日本時間16日)のマーリンズ戦の登板が濃厚で、イチローとの初対決にも期待が集まる。「自分の仕事をマウンドに立ってできる喜びがある。次もまた頑張りたい」。チームを勝たせるのがエースの使命。それができるのが田中だ。

 ▼ヤンキース、ジョー・ジラルディ監督(シャーザーとの投げ合いを制した田中に)あの舞台を楽しんでいた。

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