オリ・カラバイヨ うますぎる日本語評判 最初はファンもどよめいた

[ 2015年6月2日 09:31 ]

4月19日、日本語でインタビューに答えるカラバイヨ(左から2人目)。藤田通訳(同3人目)も手持ちぶさた!?

 何でそないに日本語がうまいねん!?オリックスのフランシスコ・カラバイヨ内野手(31)が、最下位のチームで孤軍奮闘している。チームトップの11本塁打、30打点。打撃力に加え、注目を集めているのが、ペラペラすぎる日本語だ。独立リーグ在籍中、通訳のいない環境の中で独学で習得した。またヤクルト、巨人などで活躍し、昨季BCリーグ・群馬で一緒にプレーした同じベネズエラ出身のアレックス・ラミレス氏(40)が自身の後継者として期待を寄せた。

 「トサベン、難しいよ」。カラバイヨが初来日した6年前の四国・九州アイランドリーグ(当時)の高知時代の思い出を語った時だ。土佐弁?日本語はすでに通り過ぎて、方言まで身に付けようとしていたのか。「通訳?いらないです。ダイジョウブ」と、日本語を自由自在に操る。1メートル87、105キロの巨体。風貌はどう見ても「助っ人外国人」だが、そのギャップには驚かされる。

 今年2月の春季キャンプでテスト入団。11年に一度は戦力外となっており、4年ぶりの復帰は中島、ブランコら大型補強の保険的な位置付けだった。それがどうだ。4番として11本塁打、30打点のチーム2冠王。成績以上にファンに強烈なインパクトを与えたのが、あまりにも流ちょうすぎる日本語だった。

 「一、三塁でもう1点欲しかった。詰まったけど、良かったと思います」。4月19日の西武戦(ほっと神戸)。お立ち台で通訳を介さず、ペラペラと日本語で答えた。スタンドのファンも思わずどよめいたほど。これが大好評で、今や球団の「名物」にもなった。

 日本でのキャリアは09年に高知でスタートした。チームに通訳はおらず、最初は初心者用のテキストを使って日本語を3カ月間勉強。あとは「実践」だ。当時のカラバイヨをよく知る高知・北古味(きたこみ)潤球団副社長は「地元との交流を率先してやっていた。飲みニケーションですよ。彼は明るくて陽気な性格ですしね」と語る。デーゲームが終わるや夜の街へ。高知の繁華街、はりまや橋近くの屋台などで、地元のファンと英語との「チャンポン」で語り合っていたという。

 出身はベネズエラ。母国語はスペイン語だが、中学、高校では英語の成績も良かった。語学の才能があったのだろう。自身も英語を話せる北古味副社長は「本当に耳がいいし、吸収もめちゃくちゃ早かった。来日して2、3カ月で、こちらの言うことは理解していたと思う。ファンの間でも人気者だった」。さらに分からない単語はメモするなどして語彙(ごい)を増やしていった。

 「関東の言葉は分かりやすかった。それで(日本語を)結構覚えることができた」。BCリーグ・群馬では10年、13~14年にプレー。もう、日本語はペラペラだった。納豆や寿司にも挑戦。わさびは「少し苦手」。土佐弁は難しかったが、現在は関西弁も上達中。最初に覚えたのは「何でやねん」で、「まいど!」「そらアカンわ」など使い方もばっちりだ。カタカナも大体が理解できると言い、「“カラバイヨ”は読めるよ」と笑った。

 「まだ(日本語は)勉強中。テレビ番組をみんなで見て、自分だけ笑っていないことがある。悔しい。シーズン中は新しい言葉を覚える暇がない」。今季からは「野球ノート」も付け、対戦した投手に関して気付いたことをメモしている。語学同様に研究熱心だ。異文化の中で明るく陽気に、そしてたくましく奮闘するカラバイヨ。そのバットと日本語で、これからもファンを楽しませる。

 ◆フランシスコ・カラバイヨ 1983年10月21日、ベネズエラ生まれの31歳。メジャー経験はなく、09年に来日。独立リーグの四国・九州アイランドリーグ(現四国IL)の高知でプレーした。10年7月にオリックスに入団。11年に一度は戦力外となり、12年はカナディアン・アメリカン・リーグに所属。13~14年はBCリーグ・群馬で主砲として活躍し打撃コーチ補佐だった昨季はリーグ初の3冠王に輝いた。1メートル87、105キロ。右投げ右打ち。

 ◇日本語が上手だった外国人選手

 ☆ロベルト・バルボン(55~64年阪急、65年近鉄)キューバ出身。引退後も日本に住み、独特の関西弁をマスター。ギャグも交えて流ちょうにしゃべり、阪急、オリックスで通訳などを務めた。映画やCMにも出演。

 ☆アニマル(ブラッド・レスリー、86~87年阪急)抑え投手として活躍。87年の引退後には「亜仁丸レスリー」の芸名でタレントに転身。「風雲たけし城」に出演するなど人気を集めた。

 ☆タフィー・ローズ(96~03年近鉄、04~05年巨人、07~09年オリックス)関西弁を覚え、ナインとの会話はほとんどが日本語。サインもカタカナで「ローズ」と書いていた。ヒーローインタビューでも「ヨッシャア!」などと絶叫。

 ☆トーマス・オマリー(91~94年阪神、95~96年ヤクルト)阪神時代はお立ち台で「ハンシンファンハ、イチバンヤァ~!」が決まり文句。阪神電鉄のCMにも出演。六甲おろしを日本語で歌うCDも発売した。

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