3万4000人興奮!早慶V決戦覇者はワセダ 大竹涙の初完封

[ 2015年5月31日 05:30 ]

<慶大・早大>6季ぶりの優勝を決め、喜ぶ早大ナイン

東京六大学野球最終週第1日 早大4―0慶大

(5月30日 神宮)
 早慶1回戦が行われ、早大が4―0で快勝し、6季ぶり44度目の優勝を飾った。優勝回数は法大に並んでリーグ最多となった。1勝すれば優勝が決まる初戦で、先発した左腕・大竹耕太郎投手(2年)が3安打でリーグ戦初完封。高橋広監督(60)は就任1年目の春から頂点に立った。6月8日に開幕する全日本大学選手権(神宮ほか)はこの日で26地区の代表が出そろい、3年ぶり14度目出場の早大は3年ぶりの日本一を目指す。

 あふれる涙。歓喜の輪ができたマウンドで2年生左腕・大竹は先輩たちから頭を撫でられ、ねぎらわれた。肩を震わせ、涙の粒は大きくなった。

 「1戦目を任されてプレッシャーもあったし、安どの気持ちです。うれしさと肩の荷が下りた感じ」。16日の明大戦。1―1の9回に勝ち越されて降板し、ベンチの隅で泣いた。「だからきょうは自分が最後まで(リードを)守ろうと」。3万4000の観衆を集めた優勝の懸かるマウンドでリーグ戦初完封。悔し涙はうれし涙に変わった。

 緩急自在の投球がさえ渡った。最速140キロの直球に90キロ台のスローカーブを織り交ぜる。さらにチェンジアップも球速差をつけ、90キロ台も投じて慶大打線を幻惑した。6回2死まで無安打。三塁を踏ませず、3安打に封じ込んだ。高橋監督の就任1年目でいきなり優勝を決め「監督さんが“点を取られなければいい”と言ってくれて気が楽になった」と感謝した。

 「3度目の正直」だった。昨年の早慶戦も春秋ともに優勝が懸かった。春は勝ち点を挙げた慶大が優勝し、迎えた秋。連勝すれば優勝できた。初戦をエース有原(現日本ハム)で勝ったが、2戦目の先発を任された大竹が初回3失点降板。試合も敗れ「大好きな4年生を勝たせたかった。本当に悔しかった」と言う。

 色紙にその時のスコア「4―5」、さらに「あの悔しさを忘れない」と記し、寮の自室に飾った。「寝る前にやるべき4カ条」を書いた紙も壁に貼った。インナーマッスルを鍛え、ストレッチを行う。さらに部屋の整理整頓。「投手は頭の切れも大事」と読書も欠かさない。語彙(ごい)力を高めるため四字熟語の本も買った。この試合を「一戦必勝」と表現した。

 今年1月6日。高橋監督の指導初日で唯一ブルペン入りしたのが、大竹だった。「指示しなくても1人で投げていた。活躍すると思った」と指揮官。その予感は的中した。ブルペンに入る回数は週2回から同6回に増やし、下半身主導のフォームを固めた。当然スタミナもつき、3完投を含む4勝。エースと呼ぶにふさわしい数字を残した。

 昨年は有原や主砲の中村(現ロッテ)がいても優勝できなかった。6季ぶりの悲願。高橋監督は言った。「投打の軸が卒業した中、一戦必勝でよく戦ってくれた」。エースと指揮官が口にした一戦必勝。重圧をはねのけた象徴的な言葉だった。

 ▼早大・河原主将(7回に右翼線適時二塁打)今年は戦力が落ちると言われて悔しかった。絶対に見返してやろうと思っていた。

 ▼早大・丸子(今季から4番で起用され、2二塁打。リーグトップの打率・455)絶対に首位打者を獲りたい。

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