ルールの盲点を再認識!?試合中の珍しい光景をまとめてみた

[ 2015年5月24日 10:40 ]

1991年6月5日の大洋―広島戦、2―2の9回1死満塁、広島・達川(中央左)の“勘違い”でサヨナラインフィールドフライに

 5月4日の広島vs巨人。同点で迎えた9回裏1死満塁の場面での珍事件は大きな話題となった。広島・小窪哲也の打球は高々と上がり、インフィールドフライが宣告された。しかし、巨人守備陣はこのフライをお見合い。そこで、三塁走者の野間峻祥がなぜかスタートを切り、ボールを拾った一塁手・フランシスコもフォースプレーだと思い本塁を踏むが、この場合は走者へのタッチが必要なため、野間の生還が認められた。まさかの結末で、広島のサヨナラ勝ちとなった。

 プロアマ問わず、このようなルールの細部を突いたプレーは何度も起こっている。その出来事が起こるたびに「こんなルールがあったのか」と改めて野球のルールを再認識する野球ファンは多いだろう。過去に起こった事例を改めて振り返ってみよう。

◎振り逃げで満塁ホームラン

 1960年7月19日の東映(現日本ハム)vs大毎(現ロッテ)戦。3-1と東映リードで迎えた8回表2死満塁で、東映の投手・土橋正幸は大毎の山内和弘を見逃し三振に抑える。逆転のピンチを脱したかのように見えて、ホッとしたものの、なかなか帰ってこないので、東映ベンチは、選手たちに早くベンチに戻ってくるよう、引き揚げさせた。しかし、この時、捕手の安藤順三はボールを後逸していたのである。

 後逸していたのを見ていた大毎ベンチは、振り逃げが成立するので、ベンチに引き返そうとする山内に「一塁へ走れ」と指示。走者とともに、打者の山内は無人のダイヤモンドを一周しホームイン。4点が加わり、大毎が逆転した。この場合、「第3ストライクを捕手が正確に捕球できなかった」という振り逃げの条件が適用されるのだ。

 似たケースとなったのが2007年夏の高校野球・神奈川大会の準決勝、横浜vs東海大相模の試合でも起こっている。4回表2死一、三塁の場面で東海大相模の打者はショートバウンドのボールをハーフスイングし空振り三振に。横浜ナインはチェンジだと思い、ベンチへ戻っていった。しかし、この場面は振り逃げとなるのだが、横浜の捕手は打者にタッチすることも一塁への送球もしなかった。

 一方、東海大相模のランナー2人はもちろん、打者もとまどいながら、ダイヤモンドを一周。その後、両校からの抗議とアピールで試合が中断するも、振り逃げが成立する事実は変わらず、東海大相模の3点追加が認められた。この試合の結果は6-4で東海大相模の勝利、というように、この3点が試合結果を大きく変えたのだった。ちなみに、この時の打者で、とまどいながらダイヤモンドを走ったのは、現在、巨人で活躍する菅野智之である。

◎漫画「ドカベン」のプレーが甲子園で実現

 2012年夏の甲子園・済々黌vs鳴門の7回1死一、三塁の場面で済々黌の打者はライナーを打つ。捕球した鳴門の遊撃手は一塁走者が飛び出していたのを見て、一塁手へ送球。ベースを踏んで、3つ目のアウトを取り、ピンチを切り抜けチェンジとなる……はずだった。しかし、スコアボードには「1」が表示されている。

 実は、一塁手が送球を受けてベースを踏む前に、同時に飛び出していた三塁走者が本塁をかけ抜けていたのである。鳴門守備陣は三塁ベースを踏んで、走者をアウトにするか、先に一塁走者をアウトにしたとしても、三塁走者がリタッチしていないとアピールし、4つ目のアウトを取り、3つ目のアウトと交換することで得点は防げたのだが、それをせずにベンチに戻ってしまった。このプレーによって、第3アウトの前に本塁を踏むと得点が認められることや、アウトが交換できることを知った人もいるだろう。

 この「第4アウトの置き換え」は以前、漫画「ドカベン」で「ルールブックの盲点の1点」として作中で取り上げられ、済々黌vs.鳴門の試合後には「『ドカベン』でのプレーが甲子園でも起こるとは」と話題を呼んだ。

◎インフィールドフライでサヨナラ勝ち

 今回の広島vs巨人同様に、インフィールドフライが絡んで試合の幕が閉じたケースが過去にもある。1991年6月5日の大洋(現DeNA)vs広島。2-2の同点で迎えた9回裏1死満塁の場面で、大洋の清水義之は高々と上がるフライを打ち上げる。主審はインフィールドフライを宣告するが、打球を追った広島の捕手・達川光男は捕球できず、ボールはフェアグラウンドで大きく弾んだ。ボールをつかんだ達川は今回のフランシスコ同様、走ってきた三塁走者・山崎賢一にタッチせずにホームベースを踏み、一塁へ転送したが、山崎のホームインが認められ、大洋のサヨナラ勝ちとなった。

 実は、この試合に広島・緒方孝市監督は出場しており、その瞬間をグラウンドで見ていた。この経験もあり、5月4日の試合では、すぐにアピールできたという。

 また、高校野球では変則的な形ではあるが、インフィールドフライがきっかけで勝負が決した2012年夏の神奈川大会1回戦・日大藤沢vs武相が記憶に新しい。9回裏1死満塁、日大藤沢の打者がフライを打ち上げ、インフィールドフライが宣告される。すんなり捕球した後、武相の内野陣はマウンドに集まるが、それを見た日大藤沢の三塁走者が隙を突いて本塁へ猛然とダッシュし、生還。武相側はタイムをかけた、と抗議するものの、「(審判は)タイムを宣告していない」「インフィールドフライ後はボールインプレーの状態」と判定は覆ることなく、そのまま日大藤沢のサヨナラ勝ちとなった。

 ちなみに、この敗戦で武相は51年続いていた神奈川大会初戦突破の記録が途絶え、日大藤沢は36年連続初戦突破を成し遂げた(日大藤沢は2014年の大会で初戦敗退となり、37年連続でストップしている)。

 プロでもアマチュアでも、何が起こるかわからない。これから夏に向けて、盛んに野球の試合が行われる中で、どんな事態にでも対応できるように、ルールの確認はしておこう。(『週刊野球太郎』編集部)

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