カブス和田 逆転呼ぶ激走のせい?勝利投手目前あと1人で降板

[ 2015年5月22日 05:30 ]

<パドレス・カブス>今季初先発の和田は9奪三振の好投を見せたが…白星はつかず(AP)

ナ・リーグ カブス3―2パドレス

(5月20日 サンディエゴ)
 カブスの和田毅投手(34)が20日(日本時間21日)のパドレス戦で今季初登板初先発し、4回2/3を投げてメジャー自己最多の9三振を奪った。勝利投手の権利へあと1アウト、1点リードの5回2死一、二塁で降板したが、内容はほぼ勝ち投手。5回の攻撃では一塁から本塁生還し、逆転劇に一役買った。メジャー4年目はオープン戦で左太腿を痛めて出遅れたが、復帰戦で存在感を示した。

 舞台から降りたくない気持ちがのぞいた。3―2の5回2死一、二塁。勝ち投手まで、あとアウト1つ…。和田はマウンドに来たジョー・マドン監督に、ちょっとだけ間を置いてボールを渡し、マウンドを降りた。

 「5イニング目をしっかり終われなかったのは個人的には悔しい」

 継投が決まり、チームは勝った。4安打2失点の和田は勝利投手に等しい貢献だった。初回、アルモンテから外角低めの145キロ直球で見逃し三振を奪い、奪三振ショーが幕を開けた。2回先頭まで4者連続。3回先頭からも4者連続を再現した。「審判がうまく(ストライクを)とってくれた。運も良かった」。9三振中、6個が見逃し。球の切れと制球力が光った。

 1―2から逆転したきっかけは、自身の走塁だった。5回、四球で出塁するとファウラーの右翼線への一打で激走。クロスプレーになった本塁へ左足から滑り込み、同点の生還を果たした。この間にファウラーは三塁に進み、ブライアントの決勝犠飛につながった。

 指揮官は「あの走塁は勝つ上で極めて重要だった」と絶賛しつつ、交代理由について「あと1/3回投げさせてうまくいくかもしれないし駄目だったかもしれない」。今季は左太腿の張りで故障者リスト入りして出遅れ。長駆生還の直後、5回は制球がやや乱れ、死球もあった。

 和田は「息が切れたけど、それで疲れるような鍛え方はしていない」と悔しがった。3回を抑えてベンチに戻る時、グラウンドでクレジットカードを拾った。係員に手渡す模様がテレビ中継でも流れた。「次回は任せてもらえるよう信頼を勝ち取っていければいい」。クレジット=信用は拾うものではなく築き上げるものだと分かっている。

 ▽和田の奪三振 早大時代に法大・江川の443奪三振を抜き、東京六大学記録の476奪三振を樹立した。ソフトバンク時代は09年4月3日のオリックス戦で14三振を奪い、開幕戦奪三振数のプロ野球タイ記録。10年4月8日のロッテ戦で杉内(現巨人)と並ぶ球団2位タイ、自己最多の15奪三振を記録した。日本での9年で2桁奪三振25度。メジャー移籍後はカブス1年目の昨年8月24日オリオールズ戦で奪った8個がこれまでの最多だった。

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