転職10回…第2の人生に苦しむ入来智氏支える献身的な妻

[ 2015年5月20日 10:05 ]

入来智氏(右)と妻・聡子さん

 プロ野球界から引退後、転職回数は10回を数え、第2の人生に苦しみ続ける入来智氏(47)。その陰には夫に寄り添い、献身的に支えてきた妻・聡子さん(46)の姿があった――。20日に放送されるTBS「壮絶人生ドキュメント プロ野球選手の妻たち」(後7・00~9・54)で、どんな時でも夫を励まし続けてきた“妻の鑑”の物語が描かれる。

 入来氏の1歳下にあたる聡子さん。2人は高校時代交際していたものの、入来氏が高校卒業後社会人チーム入りして一度は別れることに。入来氏はプロ入り後他の女性と結婚したが、15年に渡るプロ生活を終えた後、2人は再会することになる。

 当時入来氏は浪費や離婚による慰謝料などで野球選手時代の貯金は底をつき、故郷・宮崎に戻ってもコンビニのアルバイトや酒造メーカーでの短期雇用など日銭を稼ぐその日暮らし。たまたま聡子さんが経営する美容室の前を通りがかったことで再会し、再び交際に発展。結婚することになった。

 次に入来氏が就職したのは聡子さんの兄が家業を継いで経営する仕出し弁当店。子宝にも恵まれ第2の人生を歩み始めたが、2年後に店を飛び出すことになる。から揚げの揚げ方など弁当作りで細かく注意されることが耐え切れなかったのだという。

 入来氏は「自分の中で野球やってたプライドも多少あるんですよ、やっぱり。心の調整ができなかったです」と当時を心境を口にし、聡子さんも「俺様を何だと思ってるのよ、みたいな。俺は入来やぞ、みたいな感じのところがすごく出ていた」と夫の姿勢を振り返った。

 それから仕事もせずに聡子さんの美容室に入り浸るようになる入来氏。その体たらくを見かねた聡子さんは大きな決断をする。「美容室を辞めた方がお互いに2人で頑張っていけるのかなって思って思い切って辞めました」。

 大きな起爆剤を与えられても入来氏はなかなか定職につけないまま。せっかく見つけた住宅メーカーの営業職も一時は精を出していたものの1年で退職してしまった。

 どうすれば夫は第2の人生をまっとうに歩めるのか。悩み抜いた聡子さんは「あの人は私がいない方が、ひとりで頑張れるのかもしれない」という結論に至る。そして離婚話を切り出すと、入来氏はかたくなに拒否。「野球しかしてこなかったから…。野球以外に何していいかわからない」と、これまでの苦しみや胸のうちを全て吐露し、号泣した。

 さらに、入来家には波瀾の展開が待っている。番組本編では、11年にわたる夫婦の壮絶な人生が描かれている。

 プロデューサーを務めるTBSの後藤隆二氏は「プロ野球界は華やかに見えるけれど、引退した後野球界に残れず第二の人生を歩む人が大半。その中で支えてくれる女性がいるからこそ入来さんも頑張ってある意味第三の人生を歩もうとしているし、応援していきたいと思いますね」と入来夫妻へエールを送った。

 番組では元巨人の辻内崇伸氏(27)、DeNAの国吉佑樹投手(23)、昨年52歳で急逝した元南海の香川伸行氏とその妻たちに奮闘ぶりも放送する。

 ◆入来 智(いりき・さとし)1967年6月3日生まれ。鹿児島実から三菱自動車水島を経て89年ドラフト6位で近鉄に入団。広島、近鉄、巨人、ヤクルトと渡り歩き、ヤクルトに在籍していた01年にはキャリアハイとなる10勝を挙げて日本一に貢献。03年は韓国・斗山、04年は台湾・La Newでプレーし現役を引退した。

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