いま巨人2軍が大ヒット!ヤングGとのふれあい充実で観客大幅増

[ 2015年5月19日 13:00 ]

試合後、外野でサイン会を行う巨人の選手

 いま、巨人の2軍本拠地である神奈川県川崎市のジャイアンツ球場が熱い。観客動員は昨年から大幅増。今季始まった2軍活性化の取り組み「G2プロジェクト」の成果が早くも表れている。ファンサービスやイベントに趣向を凝らし選手との距離を近づける試みが満載だ。目指すのはファンの動員が促す若手選手の育成。プロジェクトの実態に迫った。

 巨人ファンがスタンドを埋め尽くしているのは東京ドームだけではない。ジャイアンツ球場も同じだ。18日現在で昨年の平均810人から約1・6倍の同1367人を動員。平日デーゲームの大入りはなかなか難しいが、日曜日や祝日は定員約4000人の観客席がほぼ満員となる試合が何度もある。一体、何が変わったのか。

 ☆スペシャルデー
  
 集客増のため球団は多くの仕掛けを施している。まずは最寄り駅「京王よみうりランド」から球場までの移動。急な坂道を10分ほど上るのが一般的なアクセス手段だったが、大変との声を受け、今季14試合でシャトルバスの運行を決めた。

 さらに既に2回行われた「スペシャルデー」には選手と触れ合う多くのイベントを実施している。5月6日の楽天戦は「キッズデー」と銘打たれた。開場時の入場ゲートでは選手が出迎え5回終了後はグラウンドでランニング体験、試合後は大規模なサイン会やハイタッチなどが催された。東京都足立区から訪れた立石陽嵩(ひだか)くん(小1)は「グラウンドに出られたのがうれしかった」と笑顔を見せ、父・信昭さん(48)も「ドームとはまた違った楽しさがある。前回は(息子が)キャッチボールをしてもらった。子供の思い出にも残る」と喜んだ。

 4月25日の阪神との2軍交流戦では伝統の一戦にちなみ、オレンジ色のジェット風船を来場者に配布。これを飛ばす初の試みなどが奏功し、実数発表以降では最高の3646人を動員した。

 ☆多くの視線

 多くのファンの視線を受けることで、緊張感が高まる。これがプレーの向上につながるとの狙いが球団にはある。現場を預かる岡崎2軍監督も「人が多ければ多いほど選手は緊張もするし、いい影響はたくさんある。1軍を目指して必死にやっている姿を見てもらいたい」と期待している。左大腿二頭筋肉離れのため、4月末まで2軍で調整していた大田は「お客さんが増えたのは感じています。選手同士でも話していますよ。2軍まで足を運んでくださるのは凄くありがたいことですし、励み、モチベーションになります」と話した。

 4月25日の阪神戦では関西弁での激しいヤジも飛んだという。こうした声も、岡崎2軍監督は「現場よりもファンの声の方がシビアで響くときもある。叱咤(しった)激励も含めて鍛えてもらいたい」と大歓迎している。

 ☆一石二鳥の企画
 
 プロジェクトの仕掛け人は、昨年6月に就任した久保博球団社長。「滑りだしは本当に、順調すぎるくらい順調」と手応えを口にする。コーチまでが「我々もかなり緊張します」と語っていたことを明かし「選手の目の色が変わる。そういう効果はお客さんを入れる以外にはつくれない。口で真剣勝負と言っても、プロ野球はたくさんの人に見られることが強くなる秘けつ」と話した。

 現在発表されている「スペシャルデー」は5月30日、6月27日の残り2試合だが、以降も子供対象や、地域密着をテーマとした新企画を実施予定だ。生え抜き選手の育成とファンサービスを両立させる態勢を継続、強化していく。久保社長は「G2プロジェクトは永遠に続けます。強いジャイアンツをつくるため、ファンに愛されるジャイアンツをつくるためには、必須だと思っています」と言い切る。

 観客は充実したファンサービスを堪能し、熱い声援で選手が育つ。まさに一石二鳥。ぜひ一度、ジャイアンツ球場へ足を運んでみてはいかが?

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