死球激高されるも表情変えず!ハムドラ1有原“肝っ玉”初登板白星

[ 2015年5月16日 06:00 ]

<日・オ>2回2死、有原は死球を与えた山崎勝(右)に詰め寄られる場面も

パ・リーグ 日本ハム3-2オリックス

(5月15日 札幌D)
 持ってる大物ルーキーだ。日本ハムの有原航平投手(22)が15日のオリックス戦で初登板初先発し、6回を4安打2失点。降板直後に打線が逆転し、パ・リーグ新人一番乗りとなるプロ初白星が転がり込んだ。プロ入り前から右肘に不安を抱え、慎重に調整を進めて迎えたデビュー戦。ドラフト1位右腕は最速151キロをマークし、4球団が競合した実力を見せた。球団の新人で初登板初勝利は、くしくも同じ早大出身である11年の斎藤以来となった。

 いきなりの「プロの洗礼」にも動じることはなかった。2回、有原の投じたツーシームが抜け、山崎勝の左腕を直撃。プロ初死球で、相手は激高して詰め寄ってきた。それでも表情一つ変えない。続く糸井を中飛に仕留め「切り替えていけた」と平然と振り返る。ベンチに戻る際には中田から「このままバンバン思い切っていけ!」。同じ広島出身の先輩から背中を押され、力をもらった。

 「ブルペンは凄い静かだったけど、マウンドは声援が凄くて緊張した」。デビュー戦で初回は力んだ。最速151キロを計測したが、投げ急いだことで体の開きが早くなり、制球に苦しんで1点を先制された。「2回から皆さんに声を掛けていただいて落ち着いていけた」と言う。直球は140キロ台中盤に抑え、打たせて取る投球を心掛けた。6回にも1点を失ったが、直後に打線が逆転。ベンチで両手を上げ、ガッツポーズだ。6回2失点でプロ初勝利を挙げた。

 昨秋のドラフトで4球団が競合した最速156キロ右腕は早大4年時の昨夏から右肘痛を抱え、スロー調整を強いられた。

 キャンプ4日目。2軍キャンプ地の沖縄県国頭村に視察に訪れた栗山監督から言われた。「焦ったりしないでくれ。大学時代を見ているからその状態に戻してくれ」。力を認めているからこその言葉だ。「万全な状態で1軍へ行く」。有原の覚悟は決まった。4月になり、早大の先輩・斎藤から「焦って上がって痛めるのが一番良くないからしっかり治した方がいい」と助言も受けた。その心遣いも力になった。

 1メートル89、96キロ。ヤンキース・田中より1センチ高く、1キロ重いたくましい体格は、誰もがうらやむパワーを秘めている。白水(しろず)コンディショニング担当も「“今まできっちりトレーニングをやったことがない”と言っていて、あれだけの筋力は凄い」と舌を巻く。2日前の夜。登板前日だった大谷と食事をともにし「大谷が勝ったら、俺も勝つ」と約束した。大谷は開幕6連勝。有原も続き、「翔平(大谷)には勝てて良かったと言いたい」と胸を張った。

 指揮官が「翔平に刺激を与えられる投手」と評する大物新人。球団の新人でプロ初登板初勝利は11年斎藤以来で当時の先輩同様「持ってる男」だった。「ウイニングボールは両親に渡したい」。札幌ドームの来場者には先着2万5000人に「有原プロ初登板観戦証明書」が配られ、試合前に栗山監督は「歴史の証人になってください」と言った。予言通り、プロ初勝利の「証人」になった。

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