試合前、原監督から密室指導!坂本初4番弾 125打席目の今季1号

[ 2015年5月16日 06:30 ]

<巨・ヤ>7回無死一塁、左越え2ランを放つ巨人・坂本

セ・リーグ 巨人2-1ヤクルト

(5月15日 東京D)
 やっと胸を張れる。今季初のお立ち台。今季最多の4万6784人が集まり、オレンジ色に染まった東京ドームのスタンドに向かって、巨人・坂本は笑顔を振りまいた。

 「全然いい打撃ができていなかったので、久しぶりに気持ちのいい打撃ができた。いい場面で打てたのが良かった」

 これぞ4番の働きだった。0―0の7回無死一塁。1ボールから小川のカットボールを完璧に捉え、左中間に放り込んだ。一塁走者は俊足の代走・鈴木。けん制を挟むヤクルトバッテリーを「走者を凄く意識していた。真っすぐかカットボール、直球系」と分析し、一振りで試合を決めた。

 試合前、打撃練習を終えると、原監督とともにベンチ裏の室内練習場にこもった。シーズン中、それも試合のある日では超異例の密室指導。上体が突っ込み、打撃のバランスを崩していた坂本に対し、指揮官は右膝が内側に折れることで上体が突っ込むことを指摘。さらにバットに右手の親指を乗せるイメージで構えるように指導を受けた。

 「監督もいろんなアドバイスをくれる。トップの位置やスタンスのことなど、いい時間を試合前に過ごせました」。右膝が内側に折れないように注意し、バットも前日より寝かせることで右手の親指で重みを感じた。そして3打席目。開幕から通算125打席目で待望の今季1号を放った。4番としても自身初、チームにとっても初の4番弾。そして一度も勝ったことがなかった天敵の小川に初めて黒星をつけた。

 4月11日の同じヤクルト戦(東京ドーム)で第82代となる4番を任されたが、同29日に左ふくらはぎの張りで出場選手登録を抹消された。再調整で2軍落ちした1年目の07年以来。「離れることになって悔しい」。1軍の試合を自宅で観戦する度に無念の思いが込み上げ、寝つきが悪い日もあった。13日の広島戦(同)で1軍復帰すると、再び4番に指名された。「正直、4番で使ってくれるとは思ってなかった」。遊撃守備でも6回無死二塁で荒木の左前に抜けそうなライナーをダイビングキャッチ。主将として攻守でもり立てた。

 現役時代、4番を1066試合務めた原監督は言った。「手放しで褒めることはできない。4番打者は厳しい風の中で戦うわけですから」。打率は・209。坂本も「ホッとしていられない」と満足感などない。4番打者として認められるために。この放物線を完全復活への足掛かりとする。

 ≪4番では初≫先発4番に座った坂本(巨)が決勝の1号2ラン。自身通算116本目のアーチとなったが4番では初めて。プロ入り以来の打順別本塁打は
順 (1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)途
本  65 1  32 1  1  2  5  7  0 2
 これで9番以外全ての打順で本塁打を放ったことになる。なお、チームはこの日で40試合目。巨人の4番によるシーズン初本塁打が40試合以上かかったのは46年46試合、52年40試合、53年58試合に次いで62年ぶり4度目の遅い記録になった。

 ≪高勝率は今年も健在≫オレンジ色のユニホームを着用する「橙魂(とうこん)デー」は今季、4月30日の中日戦、5月3日の阪神戦に続いて3戦3勝。過去3年も19勝6敗で、高勝率は今年も健在だ。

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