新人対決で大仕事!DeNAドラ3倉本初V打 高木勇の連勝止めた

[ 2015年5月11日 08:00 ]

<D・巨>中畑監督(左)の出迎えを受ける倉本

セ・リーグ DeNA4-2巨人

(5月10日 H新潟)
 ルーキーが、無敗のルーキーを止めた。DeNA倉本寿彦内野手(24)が10日、巨人戦の8回にプロ入り初の決勝打となる右前適時打を放った。首位攻防第3戦で8試合ぶりに「7番・遊撃」で先発出場し、同じ新人で開幕から5連勝中だった高木勇人投手(25)にプロ初黒星を付ける一打。チームは05年以来10年ぶりとなる5カード連続勝ち越しで、2位・巨人とのゲーム差を再び2・5に広げた。

 クールな新人が珍しく喜びを前面に出した。7回に同点に追いつかれ、迎えた8回。倉本は1死満塁から高木勇が投じた内角高めの直球を右前に打ち返した。プロ入り初の決勝打。両手を突き出し、指を震わせるバルディリスの決めポーズをまねた。初のお立ち台では「素直にうれしい。きょうは母の日だったので、絶対に打ちたいと思っていた」と胸を張った。

 3月27日の同じ巨人戦(東京ドーム)で71年の野口善男以来、実に44年ぶりとなる新人遊撃手の開幕スタメンをつかんだ。通算2432安打を記録した石井琢朗(現広島守備走塁コーチ)の背番号5を継承する正遊撃手として期待されたが、試合前まで打率・188。フォークなどの落ちる球の対応に苦労するなどプロの壁にぶち当たった。

 1日の中日戦(ナゴヤドーム)以来8試合ぶりの先発出場。高木勇からは前回対戦した3月29日に2安打を放っていた。社会人の日本新薬でも対戦経験があり、相性の良さを買われた。同じドラフト3位でのプロ入り。「同じルーキーなので負けたくなかった。苦手意識はなかった」。期待に応える殊勲打で高木勇に初黒星をつけ、中畑監督も「ナイスバッティング!打撃の調子を整えられたら遊撃の一番手になれる」と声を弾ませた。

 創価大4年だった3年前の12年。同期の小川がヤクルトに2位指名された。倉本もプロ志望届を出したが、指名から漏れた。ショックで自宅に引きこもって野球をやめることも考えた。数日間悩んだ末、熱心に誘われた日本新薬へ入社を決意。「2年間やって結果が出なければ(実家に)戻る。野球をやらせてほしい」と直訴すると、母・智恵子さんから「目標として夢を見続けてきたのだからやり遂げてほしい。家族みんなで応援している」と背中を押された。

 プロ入り後、結果が出なくても腰をひねる豪快な一本足打法は貫いた。動画サイトで巨人・高橋由、日本ハム・西川、ジャイアンツ・青木の打撃を何度も再生。足を上げるタイミングを研究した。決勝打という最高のプレゼントに、智恵子さんは「普段は連絡が来ないのに、きょうは試合前に“母の日だから打つよ”とLINE(ライン)が来た。うれしいです」と喜んだ。

 チームは05年以来10年ぶりの5カード連続勝ち越しで、今季最多タイの貯金7。2位・巨人を再び2・5ゲーム差に引き離した。「勝ちを続けられるように、活躍できるように頑張ります」と倉本。首位を走る中畑DeNAに、また一人頼もしい力が加わった。

 ≪5カード連続勝ち越し≫DeNAは新人の倉本が決勝の適時打を放ち逆転勝利。チームの新人が巨人戦で勝利打点を挙げたのは07年8月31日の下窪以来8年ぶり。また、開幕から5連勝中の高木勇に初黒星をつけた。2リーグ制後、巨人のルーキー5連勝以上は高木勇が4人目だが、大洋時代の60年にも青木の6連勝を阻止。巨人の新人無傷5連勝を2人止めたのはDeNAだけだ。これでチームは4月24~26日中日戦で3連勝してから5カード連続の勝ち越し。52年フランチャイズ制施行後、連続カード勝ち越しのチーム最多は64年6、7月の7カード。6カードに伸ばすと優勝した98年以来になるがどうか。

 ◆倉本 寿彦(くらもと・としひこ)1991年(平3)1月7日、神奈川県茅ケ崎市生まれの24歳。横浜高では3年春夏に甲子園出場。夏は1番に座り、1年後輩の筒香とともに4強。創価大では小川(ヤクルト)と同期で11年秋、12年春に東京新大学リーグのベストナイン(遊撃手)を獲得。日本新薬で昨年9月のアジア大会に日本代表入りした。14年ドラフト3位でDeNAに入団。1メートル80、82キロ。右投げ左打ち。

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