“奪三振王”松井裕 宝刀スライダー秘訣はマネできない腕の振り

[ 2015年5月8日 09:13 ]

スライダーの握りを披露する松井裕
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 プロ2年目の今季、先発から守護神に転向した楽天の松井裕樹投手(19)が好救援を続けている。ここまで11試合に登板し、6セーブを挙げ、いまだに失点は0。防御率0・00の数字もさることながら、目を見張るのは14・21という奪三振率(9イニングあたりの奪三振数)の高さだ。決め球のスライダーは打者の手元で急激に縦に落ちる伝家の宝刀。その理由は独特の握り方にあった。

 弱冠19歳にして、完璧な火消し役を演じている。11試合に救援して6セーブ。12回2/3を投げ、失点0の防御率0・00だ。本塁打はもちろん、安打もわずか2本しか許していない。特筆すべきは20奪三振。登板全てで記録し、奪三振率14・21は、先発でリーグトップの日本ハム・大谷の10・16をはるかに上回る。最大の武器はスライダーだ。

 「いろいろ試して、スピンを利かすため自然とそうなった。本とかで勉強したわけではない」

 左投手の多くはスライダーを投げる場合、右方向にスライドさせるために自身から見て外側を握る。だが、松井裕は逆で内側を握り、中指と人さし指を右側の縫い目に挟むようにかける。ボールの右半分を持つようなイメージだ。完全なる自己流。12年夏の甲子園で大会新の1試合22奪三振を記録した桐光学園2年時から現在の握り方になったという。腕の振りは直球と同じで、手のひらを内に向けて投げる。通常、スライダーはリリースの瞬間に中指で「切る」ことにより、打者の手元でスライドさせるが、松井裕は「切るというより、シバく感じ」と叩きつけるイメージで投げる。

 結果、曲がりながらホームベース付近で縦に鋭く落ちる。球を受ける嶋は「投げ始めより、落ちる時が一番速い。途中まで直球と見分けがつきにくい」と独特な軌道を説明。同じ左腕でベテランの川井は過去に松井裕と同じ握りを試したが「カーブっぽくドロンとした軌道になった」と断念した。

 なぜ、松井裕はその握り方で落差の鋭いスライダーを投げることができるのか。他の左腕が口をそろえて理由に挙げるのが「腕の振り」。川井は「腕の振りの速さがあってこそできるんじゃない」と分析。同じ左腕の金刃も「あの腕の振りの速さだから投げられるんだと思う。自分だとボールがスッポ抜けそうで怖い」と同意見だ。ムチのような腕の振りの速さがあるからこそ、カーブのような緩い軌道にならず、打者は直球と勘違いし、思わず振ってしまう。

 2月中旬、春季キャンプ中に大久保監督から救援転向を告げられ、3月中旬に抑え候補のミコライオが椎間板ヘルニアで長期離脱が決まると、守護神に指名された。指揮官は抜てきした理由を「何より三振が取れる」と説明。三振を奪う能力は1点も与えられない抑えにとって必要不可欠な要素。140キロ台後半の直球に加え、プロ入り後に本格習得したチェンジアップの精度も上がり、スライダーを意識する打者により効果を発揮する。

 「シーズンに入って記録としてセーブが付き、しっかりチームの力に記録として残っている。9回という大事なイニングを任されてやりがいもある」。まず狙うのは球団最多記録を更新するシーズン23セーブ。その先に、95年のオリックス・平井正史以来、史上2人目となる高卒2年目でのセーブ王をにらんでいる。

 ≪“大魔神”&球児級≫松井裕の奪三振率14.21は、今季10試合以上登板した両リーグの全投手でトップ。近年の救援投手で奪三振率シーズン14点台は97年佐々木(横)の14.85、11年藤川(神)の14.12、同年ファルケンボーグ(ソ)の14.03などごくわずかしかない。

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