大瀬良 ビスマルクの名言響いた「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」

[ 2015年5月5日 07:34 ]

<広・巨>マシソンの奥で天谷と抱き合う大瀬良

セ・リーグ 広島3-2巨人

(5月4日 マツダ)
 苦しんだ末に手にした白星は格別の味がした。広島・大瀬良大地投手(23)が4日の巨人戦(マツダ)に先発。5安打2失点完投で今季初勝利を飾った。テンポよくアウトを重ね、今季最多3万1716人の大観衆の前でチームの幸運な今季初サヨナラ勝利を呼び込んだ。勝ち運を取り戻した昨季の新人王が、ローテの柱となって上位浮上へ全力を尽くす。

 ゲームセットの瞬間、大瀬良の頭の中は真っ白だった。「正直、何が起きたのか…。石原さんに説明を受けたんですが…。でもいろんな人がしっかり理解していて、みんな喜んでいたので、勝ったんだと思いました」

 巨人守備陣のインフィールドフライの処理ミスに端を発したサヨナラ勝利。思わぬ形で今季初勝利を手にした右腕は、一呼吸遅れて、笑顔で歓喜の輪に加わった。

 冷静さが勝利の主要因だった。初回、味方失策がらみで先制点を失ったが動じない。むしろ自らの調子を分析する材料にしてみせた。「力が(球に)伝わっていない感じがした。踏み出しの位置がおかしくて、体が開いていて、景色が違っていた」

 4回から左足の踏み出す位置を横幅一足分、三塁寄りにインステップ方向に修正。本塁へ真っすぐに踏み出すことで直球のシュート回転を修正した。威力を取り戻した最速149キロ直球を軸にテンポよく回を重ね、8回終了時には畝投手コーチに続投を直訴した。

 「(9回も)行かない訳ないです。譲りたくなかったし、最後まで立ち続けたかった」

 2敗目を喫した4月21日巨人戦(上毛敷島)戦の2日後、九州共立大前監督の仲里清氏のもとを訪れていた。

 「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」

 恩師から送られた初代ドイツ帝国宰相、オットー・フォン・ビスマルクの名言が心に響いた。自身の昨年の経験が全てではない。他者から成功の秘けつを学ぶことを心がけた。その結果、自分の持ち味が「直球」であることを再認識。それでも、次戦28日のDeNA戦で9回1失点で敗れ、「何かが足りないと野球の神様に言われている」と口にしていた。

 黒田が「右腓(ひ)骨筋腱周囲炎」で3日に出場選手登録を抹消。多大な影響を受けており、自覚を口にする。「精神的なショックも少なからずありますが、やるべきことは変わらない。帰ってこられるまで僕の役割を果たすだけ」

 前回は敗戦投手だったが、2試合連続完投。上位浮上へ、ローテの柱となるべき男が本来の調子を取り戻してきた。

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2015年5月5日のニュース