ヤクドラ2風張、初登板8球退場も「先は長いから」指揮官かばう

[ 2015年5月4日 08:21 ]

<ヤ・広>初回1死、菊池(手前)に頭部死球を当てるヤクルト先発・風張

セ・リーグ ヤクルト7―3広島

(5月3日 神宮)
 試合開始からわずか5分。ヤクルトの風張は顔をこわばらせてマウンドを降りた。先頭の田中を144キロ直球で遊ゴロに打ち取り、続く菊池への初球だった。スライダーがすっぽ抜け、左側頭部を直撃。本塁付近に倒れ込んだ菊池は担架で運ばれ、風張には危険球退場が宣告された。待ちに待ったデビュー戦は打者2人、8球で幕を閉じた。

 「当ててしまったのは反省すべき点。次の登板に向けて切り替えて日々の練習を頑張っていきたい」。試合後は努めて冷静に振り返ったルーキー右腕。プロ初登板での危険球退場は3人目で先発では史上初めてだった。

 東農大北海道オホーツクからドラフト2位で入団。2軍でも公式戦デビューとなった3月29日のイースタン・リーグ、日本ハム戦(戸田)で2人目の打者に頭部死球を与え、この日と同じ1/3回を11球で危険球退場していた。2軍では4試合に登板し0勝2敗、防御率4・70。それでも9連戦の谷間の先発に抜てきされ、チームの新人一番乗りで1軍出場した。まさかの展開となったが、真中監督は「先は長いので前を向いてやってくれればいい」とかばい、高津投手コーチも「残念だがこれも肥やしにしてくれれば。ブルペンの感じも良かったし、まだチャンスはある」。きょう4日に出場選手登録を外れるが、今後に期待を寄せた。

 緊急登板した徳山は2回2/3を3失点だったが、打線が逆転に成功。3番手の古野が4回無失点の好救援でリードを守った。チーム一丸でもぎ取った1勝だ。「思ったより緊張しなかったし、ワクワクしたのが大きかった。たくさんお客さんが入っている試合で投げる機会を増やしていきたい」と風張。先輩たちに助けられた22歳は、雪辱の時を見据えた。

 ◆風張 蓮(かざはり・れん)1993年(平5)2月26日、岩手県生まれの22歳。岩手・長興寺小3年時に「銀杏クラブ」で野球を始める。岩手・伊保内では甲子園出場なし。東農大北海道オホーツクでは1年春からベンチ入り。1、3年時に全日本大学選手権出場。14年ドラフト2位でヤクルトに入団した。1メートル82、85キロ。右投げ右打ち。

 ≪先発投手で史上初≫プロ初登板のルーキー風張(ヤ)が初回、2番・菊池の頭部に死球を当てて危険球退場。プロ初登板での危険球退場は05年小林(中)、10年矢地(中)に次ぎ3人目で、先発では風張が初めてとなる。またプロ初登板に限らず、先発投手の初回打者2人目の危険球は7人目(8度目)の最速タイ。

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