上原「言わせておけばいい」“雑草魂”で地元メディア手のひら返し快投

[ 2015年4月29日 05:30 ]

<レッドソックス・ブルージェイズ>サヨナラ勝ちに喜ぶ上原(右端)

ア・リーグ レッドソックス6―5ブルージェイズ

(4月27日 ボストン)
 レッドソックス・上原浩治投手(40)が27日(日本時間28日)、ブルージェイズ戦でサヨナラ勝ちを呼び込む完璧な救援を見せ、2勝目を挙げた。同点の9回に登板し、2者連続三振を奪って3者凡退。その裏にサヨナラ勝ちし、白星を手にした。前回登板での救援失敗後、地元メディアからは球速の低下などを指摘されていたが、評価を一変させる快投劇。踏まれるたびに強くなる「雑草魂」は不惑を迎えても健在だ。

 真っ先にベンチを飛び出した。5―5の9回1死二、三塁。ベッツの打球が前進守備を敷いた遊撃手の横を抜けると、上原は一塁塁上のベッツのヘルメットを取り上げ、誰よりもはしゃいだ。

 「勝ったので良かった。ホッとしている。真っすぐをちょっと多めに投げていこうというのは、捕手にお願いした」

 同点の9回から登板して、先頭ソーンダースを外角低めに逃げるスプリットで空振り三振。続くピラーもスプリットで2者連続空振り三振を奪い、片膝を折らせた。3人目ポンペイを追い込むと、本拠地のファンは総立ちに。またもスプリットで三飛に仕留め、表情は変えずベンチへ。その裏のサヨナラ勝ちを呼び、ようやく破顔一笑だ。

 前回25日のオリオールズ戦は1点リードを守れず、サヨナラ弾を浴びた。直球の球数が少なく、球速も86マイル(約138キロ)程度が続き、地元メディアはしきりに球速不足を指摘。昨季途中まで在籍し、オフにヤンキースへFA移籍したミラーが7セーブ、防御率0・00と好調なため、26日付ボストン・グローブ紙は「こんな失敗が続くと、なぜミラーを呼び戻さなかったのか、みな疑問に思うかもしれない」と報じていた。この日は直球を、全投球中25%にあたる4球と多めに投じ、最速88マイル(約142キロ)を計時した。直球が走ることで、「対」となる変化球のスプリットも切れた。

 圧巻の内容に、ボストン・グローブ紙は「平均86マイルだった球速が戻り、復活の夜に」と手のひら返し。ESPN電子版も「球速が戻って直球の割合も増えた」と歓迎した。上原は「(メディアには)言わせておけばいい」と、名門チームの宿命を承知している。日本人3人目となるメジャー通算300登板の節目を白星で飾り、不惑の雑草魂はまた力強さを増した。

 ≪日本投手3人目≫上原が日本投手3人目となるメジャー通算300試合(先発12、救援288)登板。最多は長谷川滋利の517試合で次いで野茂英雄の323試合。この勝利で日米通算129勝目で、セーブは同97。日米通算100勝+100セーブの節目に、あと3セーブに迫っている。

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2015年4月29日のニュース