能見が今季チーム初完封!トラ最下位転落ピンチ救った

[ 2015年4月27日 05:30 ]

<広・神>完封勝利を飾り、藤井(左)と笑顔でタッチを交わす能見

セ・リーグ 阪神6―0広島

(4月26日 マツダ)
 やっぱりアンタが大黒柱やで!阪神・能見篤史投手(35)が26日の広島戦(マツダ)で今季チーム初完封を飾った。無四球、散発6安打で投げきり、三塁を踏ませずに2勝目を挙げた。敗れれば最下位に転落する危機で、頼れる男が文句なしの快投。波に乗りきれない猛虎を目覚めさせるベテラン左腕のワンマンショーだった。

 「疲れたね」。試合後、苦い表情で発した能見の第一声には、大きな重圧と戦った実感がにじんだ。身体的な疲労だけではないはずだ。敗れれば最下位転落の危機で、昨年4月12日の巨人戦以来となる完封勝利という最高の結果を残して、チームを救って見せた。

 「(初勝利した)前回の良いイメージを持って、良い結果が出た。(広島打線は)勝負が早いのでね。藤井さんが打者を見ながら、いろいろ考えてくれたから」

 窮地で投じたのは能見の「信念」とも言える球種だった。5回2死二塁で迎えたのは代打・会沢。次は投手の打順だが、次打者席には同じ右の小窪。マウンドで投手コーチを交えて話し合い、勝負を選んだ。2ボール2ストライクからの5球目に内角へこの日最速の145キロを投げ込み見逃し三振でピンチを脱した。

 直後の6回の攻撃では1点を奪い、なおも1死一、二塁の打席で三塁前へ絶妙のバントを決め、内野安打で好機を拡大して大量点につなげた。

 長年、キャンプでは右打者の内角を想定した直球の投げ込みにほとんどの時間を費やす。変化球を交えた投球術とはかけ離れた練習法に、左腕のプライドがにじみ出る。

 「まっすぐだけを投げることは実はしんどい。腕を振るし体も疲れる。変化球を交ぜれば楽できるけど、シーズンに入って半分以上は直球を投げる。投球の基本。しっかり投げられるように徹底して投げ込んでる」

 年齢を重ねるごとに体への負担は大きくなるが、ブレることなく腕を振ってきた。だから、この日も迷わずウイニングショットに選択。沖縄での1500球に及ぶ投げ込みの成果が、会心の奪三振に凝縮されていた。

 過去3度務めた開幕投手を今季はメッセンジャーに譲った。当然のごとく立っていたマウンドに自身がいないことにも「そんなの全然気にならない。変な感じもしないしね」と笑い飛ばす。開幕戦の朝には京セラドームに向かう前に「時間がある時にやっておきたかった」と、甲子園のウエートルームに数時間こもり、体をいじめ抜いた。任されたマウンドへ最高の準備をすることに専念した。

 チームは今季5度訪れた、負ければ最下位の試合ですべて勝利し、能見も18日の前回登板で阻止している。昨年から「しんどいところは自分がやればいい」と言い続けてきた。その言葉の真価を問われるゲームで見せた快投。猛虎に能見アリ、を示した。

 ≪通算9度目の完封≫能見(神)が今季初の完封勝利で2勝目。昨季4月12日の巨人戦(甲子園)以来通算9度目で、無四球は13年4月9日の巨人戦(甲子園)以来2年ぶり3度目。広島戦の4度は巨人戦の3度を抜いて最多だ。

 ≪得意のマツダ≫広島戦は通算42試合で19勝8敗の防御率2・40。このうちマツダでは15試合で10勝4敗の防御率1・54の好成績を挙げている。

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