黒田 3球連続内角攻めの藤浪に激高「へらへらしたら士気に影響」

[ 2015年4月26日 05:45 ]

<広・神>藤浪(左)に詰め寄る黒田

セ・リーグ 広島11-3阪神

(4月25日 マツダ)
 広島の黒田博樹投手(40)は25日、阪神戦で6回3失点に抑えて3勝目を挙げた。2回の打席では藤浪晋太郎投手(21)から内角攻めされ、激高。マウンドへ向かってにらみ、吠えた。両軍がベンチから飛び出し不穏なムードが漂った中、立ち上がりに苦しんだ投球を冷静に立て直し、計9安打を浴びながらも要所を締めた。今季3勝はリーグ最多タイ。阪神戦はカード別最多タイの20勝目となった。

 球場の空気が震えた。黒田が怒声を発したのは2回だ。バットを手に藤浪をにらみつけ、何事かを叫びながらマウンドに詰め寄る。19歳年下の右腕は慌てて帽子を取ったが、もう遅い。40歳ベテランの怒気に触発され、両軍ベンチから一斉に首脳陣、選手が飛び出す。一触即発。今季最多の3万1589人のファンをのみ込んだスタンド、そしてグラウンドは一時騒然となった。

 黒田 バントをさせたくないのは当然だけど、(内角に)続けられるとね。自分がへらへらしていたらチームの士気に影響する。自分の体は自分で守らないと。

 仏の顔も三度まで、だ。2回1死二塁。黒田はバントの構えをしていた。初球は内角のボール球。2球目が顔面近くに来た。のけぞって倒れ、四つんばいになる。そして3球目。捕手・梅野が後逸してしまったほどの143キロの内角球が、ベルト付近を襲う。よけた黒田は時計回りに1回転。尻もちをついた。捕手の構えは外角ながら、全て内角に抜けた直球。投手が打席にいる場面で「礼儀」を欠いた3球に、黒田は我慢ならなかった。

 黒田 (藤浪は)いい投手だし、あれだけの素材。ただ、年齢に関係なく戦っている。戦う姿勢を見せないといけないので。

 日米通算で19年目のシーズン。数々の修羅場をくぐり抜けてきた男は、相手に立ち向かう姿こそが大事、と強調した。そこには21歳も40歳も関係ない。2月16日の入団会見。「復帰1戦目で肩が飛んでしまう可能性もある。それでも後悔しない」と言い切った。常に「覚悟」を背負ってプレーしている。だからこその怒りだった。一触即発の事態の後は、フルカウントからバスターで一ゴロ。二塁走者を進め、勝ち越し点につなげた。

 黒田 きょうは切れも制球も良くなかった。ばらばらでしんどかった。

 投球では初回だけで32球。それでも勝ち越してからはテンポを取り戻し、3~5回は33球で無失点だった。6回3失点。チーム8勝のうち3勝目を挙げた右腕に、緒方監督も「(内角に)3球も続けられると誰だって怒る」と話した。

 黒田 グラウンド上で起こったこと。引きずることはない。

 最後は藤浪に貫禄たっぷりのメッセージを送った黒田。遺恨はない。あるのは、勝負の世界に生きるプロの選手としてのプライドだった。

 ▼阪神・藤浪 バントをさせようと思って、しっかり投げないまま走りだしてしまったので、ああいうボールが行ってしまった。

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