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試合後、姿なし…王さんに並んだイチロー流儀 抜き去るまでは“語らず”

[ 2015年4月26日 05:30 ]

<マーリンズ・ナショナルズ>5回2死一、二塁、レイトスの中前打で二塁から生還するイチロー

ナ・リーグ マーリンズ3―2ナショナルズ

(4月24日 マイアミ)
 また「日本記録」に名を刻んだ。マーリンズのイチロー外野手(41)は24日(日本時間25日)、ナショナルズ戦に「7番・左翼」で4試合連続先発出場し、1安打1得点をマーク。日米通算1967得点(日658、米1309)として、ソフトバンク・王貞治球団会長(74)の持つプロ野球記録に並んだ。正左翼手が故障者リスト(DL)入りし、今後も先発出場が続く見込み。25日(同26日)にも特別な存在である王氏の記録を追い抜く。

 節目の得点は、イチローの持ち味が凝縮されていた。0―1の5回2死、遊撃左への鋭い当たりの内野安打で出塁する。次打者の中前打で二塁へ進み、続く投手レートスの中前へのポテンヒットで、本塁を駆け抜けた。

 日米通算1967回目のホームイン。「世界の王」が22年間で積み上げたプロ野球記録に、24年目で並んだ。ただ、本塁打の世界記録を持ち、868回は自身の一振りで本塁を踏んだ王氏とは違い、イチローの本塁打による得点は230。先陣を切って出塁し、塁上では俊足を武器に揺さぶってバッテリーに重圧をかけ、時に忍者のような身のこなしで本塁を奪ってきた。この日も存在感が詰まったチーム初得点で勢い付かせ、逆転で今季初の3連勝に導いた。

 試合終了から14分後。報道陣に開放されたクラブハウスに、イチローの姿はなかった。昨年8月8日、マリナーズ時代の04年に年間最多262安打を放つまで、257安打で記録保持者だったジョージ・シスラー氏に、通算2810安打で並んだ。この時も「シスラーのことは、超えてからね」と質問を遮った。翌9日にシスラー超えを果たすと「一番意識する人。僕にとっては大きな数字です」と特別な思いを口にした。王氏の存在も特別だからこそ、抜き去るまでは口を閉ざすのが、イチローの流儀だった。

 王氏とは06年WBCでともに戦って以来、強い信頼関係で結ばれた。「記録だけではなく、人柄、器の大きさ、懐の深さで、野球界で数少ない、僕が尊敬する方です」と思いを隠さない。世界一になった第1回大会では、迷った末に代表入りを決意し、王氏に電話をかけた。「非通知でかけたら“はい、王です”って出られた。度肝を抜かれましたよ」。伝言を残し、再度連絡するつもりが、全く予想もしない展開に圧倒されたという。以降、オフには会食を重ねて親睦を深めてきた。

 腰の張りを訴えていた正左翼手のイエリチのDL入りが決まり、今後も先発出場が続く。マイク・レドモンド監督は「こういう時のためにイチローがいるとキャンプから言ってきた」と期待を込めた。特別な感慨は胸の内にしまい、この金字塔を通過点とするべく、次なるホームを目指す。

 ▼ソフトバンク・王貞治会長 どんな記録も破られ、更新されるべきもの。この記録も、いずれ彼に更新してもらえると思っていました。(大リーグには)まだ上の記録があるんだから、これからも積み上げていってほしいね。

 ▽王貞治の最後の得点 1980年10月12日のヤクルト戦(後楽園)。「4番・一塁」で先発出場した王は6回に神部から30号決勝2ラン。自身のプロ野球記録を更新する19年連続30本塁打以上を達成した。

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