150キロ台急増!“別人”マー君 米メディア黙らせた

[ 2015年4月20日 05:30 ]

<レイズ・ヤンキース>これぞマー君!初回2死二塁、ロンゴリアの打球にマウンドから駆け下りる田中

ア・リーグ ヤンキース9―0レイズ

(4月18日 セントピーターズバーグ)
 ニューヨークに手のひらを返させた。ヤンキースの田中将大投手(26)が18日(日本時間19日)、敵地でのレイズ戦で7回を2安打無失点、8奪三振、無四球と快投。連勝で2勝目(1敗)を挙げた。150キロ台を7球計測し投球の約45%を占めた直球で押す圧巻の投球。昨年に右肘を痛めた経緯から球速低下に酷評を続けてきた地元メディアは急転、称賛の声を浴びせた。

 グラブを2度叩いて声を上げた。先頭を二塁打で出して唯一、得点圏に走者を置いた6回。連続三振の後、ソーザを三ゴロに仕留め、田中が今年一番のアクションを見せた。今季3度目の登板で演じた無失点投球に、手応えが口を突いて出た。

 「凄く良かったと思う。真っすぐ中心でアグレッシブにいけたかな」

 初回先頭安打の後、5回終了まで15人連続アウト。6回のピンチは「点を取ってもらった後。絶対ゼロで切り抜けるという気持ちでいた」とギアを上げ、今季最速の94マイル(151キロ)を出した。チーム打率は・223と低いもののリーグ2位の50四球を選ぶレイズ打線に粘ることもさせず、7回を85球でカバー。三塁を踏ませず、クオリティースタート(QS=6回以上、自責点3以内)を今季初めて記録した。

 軸球は、初回から「いい手応えで投げられていた」というフォーシーム、すなわち直球だ。85球中38球、割合は約45%に達した。過去2戦は各1球だった150キロ台が7球に急増。力強さを見せつけ、「(直球で)ある程度いけるというのはあったし、いこうという思いもあった」と言った。

 昨年7月に右肘を痛めて長期離脱を経験し、1年を投げ切るためにキャンプから体への負担が少ないフォームを追求。全力投球の定型を捨て、その日の状況で七変化しながら勝ちを目指す。新たな投球スタイルの中、この試合では初回から好感触だった直球が主武器となったが、この選択が別の効果ももたらした。

 開幕から4回5失点、5回4失点と不本意な投球。ツーシームを多投するなど全力投球しない姿に、米メディアは「直球を投げたがらない」「球速が低下した」と右肘のことに関連づけて酷評していた。直球攻めで、相手をねじ伏せたのだから、「雑音」封じにはインパクト十分だった。ESPNのウォレス・マシュー記者は球場記者席で「カーブをあんなに使うのも考えられない変化だ」と話した。直球を柱に、変化球は前回登板で不調だったスプリットに頼らず過去2戦で計1球しか使っていないカーブを10球交えた。引き出しの多さに同記者は「最高技術を誇る田中」と速報記事を執筆した。

 田中の目は遠く先を見る。「夏場に、日本でもそうでしたけど、そこで強い選手になりたい。去年みたいなことは凄く嫌なので」。まだ完成でもピークでもない。その中で輝きを取り戻した、大きな1勝だった。

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