銀次 イチロー流詰まりV打「投手はもう投げるところがなくなる」

[ 2015年4月15日 05:30 ]

<西・楽>8回2死二塁、決勝の左前適時打を放つ銀次

パ・リーグ 楽天2-1西武

(4月14日 西武D)
 デーブ楽天が初の貯金だ!楽天は14日の西武戦に2―1で勝ち、2つの引き分けを挟んで5連勝。通算6勝5敗とし、大久保博元監督(48)の就任後、初めて勝ち星の数が上に出た。1―1の8回、銀次内野手(27)が12日のオリックス戦(コボスタ宮城)でのサヨナラ打に続く2試合連続決勝打。パ・リーグは借金11を抱えるオリックスを除き、5球団が貯金を持った。

 一流打者から「超」が付く、もう一つ上のステージに手をかけたのかもしれない。銀次は大久保政権で初の貯金をもたらした殊勲の決勝打を「あのコースをあそこに打たれたら、相手投手はもう投げるところがなくなると思う」と振り返った。

 同点で迎えた8回2死二塁。銀次は1ボール2ストライクからの4球目、増田が投じた内角高め144キロの直球を三塁手後方にポトリと落とした。左打者にとっては右翼方向に引っ張りたいが、ファウルになる確率も高いコース。両腕の力を抜き、内からバットを出した。打球は球威に押されて詰まった。それでも内野手の頭を越えた。直前の3球目に同じ球速で同じコースの球を三塁線にファウルしたことで「同じコースに来ればレフト前に落とすイメージがあった」と言う。「イメージ通り詰まらせることができた」と胸を張った。

 体に近いポイントでわざと詰まらせて逆方向(左打者は左翼方向)に打つ技術は世界的打者であるマーリンズのイチローが得意とするもの。投手にとっては「打ち取ったような打球」が外野手の前にポトリと落ちるため、与えるダメージも大きい。この技術を体得すれば相手も内角を攻めにくくなる。銀次は「試合で詰まらせる打球を狙って初めてできたことが大きい」と手応えを語った。

 大久保監督は1軍打撃コーチとして楽天に入団した12年、当時の成長株だった銀次に対し、春季キャンプで4800スイングを課した。他選手の平均は500。血のにじむ手袋で練習する銀次を見守った。そんな努力を知っている指揮官は銀次について「手の皮がずるむけていた、あの時の練習が生きている。(決勝打は)見事なところに落とした」と称賛した。

 昨季はリーグ2位の打率・327で今季は首位打者を狙う銀次に慢心はない。「イチローさんは雲の上の人で僕とは次元が違いすぎる。これを続けることが大事」。あくなき向上心は天才打者と重なる。

 ≪田尾、星野監督に続いた≫楽天が5連勝で今季初の貯金1。楽天の新監督で貯金をつくったのは05年田尾監督(最多1)、11年星野監督(最多3)に次いで3人目。両監督とも最終的には借金生活でBクラスに終わったが、大久保監督は最後まで貯金をキープできるか。

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