田口 巨人救った19歳左腕、球団初快挙!初登板初勝利&決勝打

[ 2015年4月12日 05:33 ]

<巨・ヤ>7回1失点の好投でプロ初登板初先発初勝利を挙げた田口

セ・リーグ 巨人2―1ヤクルト

(4月11日 東京D)
 新たな10代のヒーローが誕生した。巨人の田口麗斗(かずと)投手(19)は11日、ヤクルト戦でプロ初登板初先発し、7回1失点で初勝利を飾った。同点の4回には決勝の適時内野安打で勝利打点とバットでも活躍。10代投手の初登板初勝利で決勝打を放ったのは巨人史上初の快挙だ。19歳6カ月の左腕の力投でチームの連敗は3でストップ。また原辰徳監督(56)は監督通算勝利数が882勝となり、故水原茂氏を抜いて球団歴代単独3位となった。

 初めて上がる東京ドームのお立ち台。スタンドを埋め尽くした4万2870人の大歓声を浴びた田口は、初々しく自己紹介を始めた。

 「初めまして。2年目の田口です。これだけ大勢のお客さんが来てくれるとは思っていなかったのでびっくりしてます。力になりました」

 「硬さがあった」という初回2死から山田をスライダーで空振り三振。実松のサインはチェンジアップで田口のミスだったが「最多安打を獲った打者から空振りを取って自信が持てた」とプラスに捉えた。2回に先制点を許すが、多く並んだ右打者の懐を強気に攻めた。直球の最速は141キロながら縦横2種類のスライダーを効果的に使って7回1失点。無四球と逃げずに攻め抜いた左腕は「人生一度しかないチャンスで抑えられて良かった」と笑みを漏らした。

 バットでも沸かせた。実松の適時打で同点に追いついた直後の4回2死一、三塁。「無我夢中だった」とバットを振ると、三塁前へのボテボテのゴロ。これが決勝の適時内野安打となり「いい足が生かせたかな」とニヤリ。10代の初登板初勝利に加えて決勝打も放つ、81年の球団史上初の偉業を成し遂げた。

 広島新庄高時代は「東の松井、西の田口」と同じ左腕の松井裕(現楽天)と並び称された逸材。だが、プロ2年目の今春宮崎キャンプでは2月13日の1軍紅白戦で1回7失点と打ち込まれた。「情けない」。右足を上げる際に軸足(左足)のかかとを浮かせるダイナミックなフォームに変え、変化球の切れが増した。練習に取り組む意識も変わり、早出練習で体幹強化やストレッチに励むようになった。

 斎藤投手コーチが最初に推薦した際には原監督は「田口?」と驚いたというが、連敗を3で止めチームを救った。その堂々の投球に、指揮官は「落ち着いて力むことなく非常に良い投球をしましたね。驚きました。無四球が凄い」と目を細めた。

 かつて長嶋茂雄終身名誉監督も背負っていた「背番号90」での快投。小学4年で作文に「巨人に入って優勝して原監督を焼きそばパーティーに招待したい」と夢を記した田口は、憧れの巨人で初勝利の記念球を手にして「恩返しとして両親に渡したい。節目の球をプレゼントして、家族のコレクションを増やしたい」。好投で次回も1軍登板が決定。原監督に焼きそばを振る舞うという夢をかなえるまで、白星を積み重ねていく。

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