新井 甲子園で勝ち越し二塁打!虎党拍手に「ほんと嬉しい」

[ 2015年4月12日 05:57 ]

<神・広>6回無死一、三塁、新井が左越えに勝ち越しの適時二塁打を放つ

セ・リーグ 広島7―2阪神

(4月11日 甲子園)
 広島・新井貴浩内野手(38)が11日、阪神戦(甲子園)に先発出場し、6回無死一、三塁から左越えに決勝の適時二塁打を放った。昨季まで在籍した古巣へ、何とも痛快で「恩返し」となる一打で、チームを今季初の3連勝に導いた。

 喜びを爆発させた。二塁ベースにたどり着いた瞬間、思わず右手拳を突き上げた。1―1で迎えた6回無死一、三塁の好機で、均衡を破る価値ある二塁打。直後の怒とうの攻撃の中核を成し、決勝点を叩き出した新井の表情には、安ど感と達成感がにじんでいた。

 「黒田さんは粘って投げていたし、マウンドから伝わるものがあった。(走者を)絶対に還すという強い気持ち。最高の結果になってよかった。右手拳は自然です」

 初球の140キロ内角直球をジャストミート。ライナー性の打球は瞬時に左翼手・マートンの頭上を越えた。2回は左飛、3回は二直に倒れたものの、メッセンジャーに対して「タイミングは取れていた」。強い気持ちを込めた第3打席、強打さく裂は必然だった。

 思い起こせば10年前もそうだった。最多勝を懸けて黒田が救援登板した05年10月7日のヤクルト戦(神宮)。同点の8回1死一、二塁で新井は勝ち越しの右越え2点三塁打を放ち、ガッツポーズを取った。キャッチボール中だった黒田も手を上げて殊勲打に応えた。

 当日のコメントはこうだ。「絶対に打ってやる…その一心。喜んでもらえて嬉しい。ガッツポーズは自然に出ました」。これには伏線があった。「打った時はもっと感情を表した方がいい。そうすればチームも乗っていけるから」。黒田が新井に掛けていた言葉だ。

 7年間本拠地とし「思い出がたくさん詰まっている」甲子園。打席に向かう前、新井の名前がコールされると、スタンドの虎党から大きな拍手が起きた。「温かく迎えてもらい、ほんと嬉しいです」。あからさまなガッツポーズではない。上げた右手拳には古巣への感謝の思いも込めていた。

 「一番最初に火を付けてくれたのが新井だからね。さすがベテラン。打線に勇気を与えてくれる一打だった」。緒方監督は背番号28に最敬礼だ。「投手に負担をかける試合が続いて申し訳ない。もっと点を取って上げたい」。右肘が万全じゃなくても、気持ちで打つ。胆力のある38歳が頼もしい。

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2015年4月12日のニュース