ルーキー監督5人の今季を大予想 過去のデータから見ると…

[ 2015年4月12日 10:55 ]

ベンチで腕組みする工藤監督(中央)

 ついにプロ野球開幕。どんな監督でも、今季の1勝目は嬉しいところだが、初めて指揮を執るルーキー監督の“1勝目”の嬉しさは格別だろう。特にヤクルト・真中満監督の満面の笑みは印象的だった。

 昨季から今季にかけて監督の交代は5球団で行われ、新しく監督に就任した5名は全員、初めて1軍の監督を務める「ルーキー監督」ということでも注目を集めている。

 過去の「ルーキー監督」たちの初年度の成績を調べ、考察することで、今季の5人の可能性を探ってみる。まずは、その24人の顔ぶれと成績をご覧いただきたい。

●生涯初監督の1年目のシーズン成績
(2001年以降の日本人監督のみで、カッコ内の順位は前年のもの。楽天初代監督の田尾安志監督は、前年成績がないのでカウントしていない)

【巨人】
2002年:原 辰徳監督……優勝(←2位)
2004年:堀内恒夫監督……3位(←3位)

【阪神】
2004年:岡田彰布監督……4位(←優勝)
2009年:真弓明信監督……4位(←2位)
2012年:和田 豊監督……5位(←4位)

【広島】
2010年:野村謙二郎監督…5位(←5位)

【中日】
2002年:山田久志監督……3位(←5位)
2004年:落合博満監督……優勝(←2位)
2014年:谷繁元信監督……4位(←4位)

【横浜→DeNA】
2003年:山下大輔監督……6位(←6位)
2005年:牛島和彦監督……3位(←6位)
2010年:尾花高夫監督……6位(←6位)
2012年:中畑 清監督……6位(←6位)

【ヤクルト】
2006年:古田敦也監督……3位(←4位)
2011年:小川淳司監督……2位(←4位)

【ダイエー→ソフトバンク】
2009年:秋山幸二監督……3位(←6位)

【オリックス】
2002年:石毛宏典監督……6位(←4位)
2009年:大石大二郎監督…6位(←2位)
2013年:森脇浩司監督……5位(←6位)

【日本ハム】
2012年:栗山英樹監督……優勝(←2位)

【ロッテ】
2010年:西村徳文監督……3位(←5位)

【西武】
2002年:伊原春樹監督……優勝(←3位)
2004年:伊東 勤監督……優勝(←2位)
2008年:渡辺久信監督……優勝(←5位)

ここからは、いろんな角度からリサーチしてみた。

☆前年成績との比較では?
  成績アップ…13人(54%)
  変わらず……6人(25%)
  成績ダウン…5人(21%)

 24人中、半数以上が前年よりも成績をアップさせている。ルーキー監督もなかなかやるものである。その中に優勝監督も6人いたが、5人は前年もAクラスだったチーム。唯一のBクラス(5位)からジャンプアップを果たした西武・渡辺久信監督の手腕は賞賛に値する。

☆現役時代に在籍していたチーム?
●在籍していた(16人)
  成績アップ…9人(56%)
  変わらず……4人(25%)
  成績ダウン…3人(19%)

●在籍したことなし(8人)
  成績アップ…4人(50%)
  変わらず……2人(25%)
  成績ダウン…2人(25%)

 こちらは現役時代に現チームに在籍していた監督のほうがやや優勢。とくに優勝監督6人のうち5人までがこちらに該当する。どちらかといえば、球団の内情や雰囲気などをわかっていたほうが、チームマネジメントもうまくいくのかもしれない。

☆現役時代に200勝or2000本安打到達?
●到達している(7人)
  成績アップ…4人(57%)
  変わらず……3人(43%)
  成績ダウン…0人(0%)

●未到達(17人)
  成績アップ…9人(53%)
  変わらず……3人(18%)
  成績ダウン…5人(29%)

 球界には「名選手、名監督にあらず」という格言が存在するが、現役時代に「名球会レベル」の数字を残した選手だったかどうかを集計してみると、この現代においては、その格言を否定する結果となった。しかし、優勝監督となると、6人中5人が未到達者。この結果をどう見る?

☆現役時代のポジションは?
●投手(5人)
  成績アップ…3人(60%)
  変わらず……2人(40%)
  成績ダウン…0人(0%)

●捕手(3人)
  成績アップ…2人(67%)
  変わらず……1人(33%)
  成績ダウン…0人(0%)

●野手(16人)
  成績アップ…8人(50%)
  変わらず……3人(19%)
  成績ダウン…5人(31%)

 現役時代のポジションによる成績アップ率はバッテリー経験者がリード。とはいえ、細分化されて各サンプル数が少なくなってしまっているので、そこまで決定的な差があるとは言いにくい面も。優勝監督は、投手1人、捕手1人、野手4人だから、全体の割合にほぼ準じている。

 以上のデータに最も合致するのは、現役時代に在籍しており、通算224勝を挙げているソフトバンク・工藤公康監督か。昨年のパ・リーグの覇者で戦力は充実している上に、監督にも追い風が吹いているとあれば、鬼に金棒だ。ただ、重箱の隅をつつくようなことを言うなら、その昨年の優勝が引っ掛かる。2001年以降、前年の優勝チームをルーキー監督が引き継いだケースが一度だけあり(2004年の阪神・岡田彰布監督)、このときは4位に終わっている。はたして、秋にはどんな結果が待っているだろうか。

 もう1人、注目の存在を挙げるとするなら、西武・田辺徳雄監督だ。過去の一覧を見ていただければわかるとおり、西武は2001年以降、ルーキー監督で3度優勝しているのだ。と言うより、この形でしか優勝できていない。開幕5連勝という好スタートから、このまま1シーズン走りきってしまうかも?

 前年の最下位からチームの再建を託されるヤクルト・真中満監督と楽天・大久保博元監督。そして、24年ぶりの優勝に大きな期待がかかる広島を率いる、緒方孝市監督にももちろん期待したい。(『週刊野球太郎』編集部)

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